表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この小説は絶対に読まないでください 〜パワーワード〜  作者: 大和田大和
第三巻 公平の世界
80/260

合流

そして、俺たちは路地を抜けてアリシアと合流した。

「おっそーい! 殺人鬼一匹捕まえるのにどんだけ時間がかかっているのよ? それになんでそんなボロボロなのよ?」

一匹っていうな。


「路地が思ったより入り組んでいて、アルとなかなか合流できなかったんだよ。っていうかお前こそ何やっていたんだよ!」

「はー? 私はねー。ずーと迷子になったケンとアルちゃんを探していたのよっ! 暗い夜道で心細かったんだからねっ!」

「わかった。わかった。悪かったから」


「心配をかけたな」

と、アル。


「小学生みたいに道に迷うんだったら、次からは私が地図を描いてあげるから! いーい?」

「わかった。それより、今晩は遅いからニコニコおじさんのとこに泊めてもらおう」

話を切り上げようとしているのに、アリシアの説教はまだ続く。


「それにねー! 一人だと道に迷うのなら保護者と一緒にいなさい! ケンはまだ子供なんだから私のことをママだと思ってもいいわよ!」

思わねーよ! ってか、これ説教なのか?


「もしかしたら寂しくて泣いていたんじゃないの? そうでしょ! 正直に言いなさいな!」

「泣かねーよ! ってか早く休みたいんだけど」

だが、アリシアはさらに続ける。


「しょうがないから私が飴を買ってあげるわ。それで機嫌を直しなさいな!」



その時だった。

「おやっ! 君はさっきのお嬢さんかい?」

アリシアの背後から裕福で親切そうな丸々太ったおじさん。そのおじさんが声をかけた瞬間、アリシアの表情がガラリと変わった。


「どうやら保護者の人と合流できたみたいだね。今度からは、保護者の人と一緒に遊びなさい。いいね?」

ん? 保護者? どういうことだ?


「はい」

下を俯くアリシアは消え入りそうな返事をおじさんにした。

「描いてあげた地図は役に立ったかい?」

ん? 地図?


「はい」

アリシアの両の目は地面に釘付けだ。どうした? 金でも落ちているの?

「さっき泣いていたけど、もう泣き止んだみたいだね」


「はい。飴玉奢ってくれてありがとうございます。美味しかったです」

「じゃあ。もう迷子になるんじゃないよ。いいね」


「はい」

そして、おじさんは去っていった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ