合流
そして、俺たちは路地を抜けてアリシアと合流した。
「おっそーい! 殺人鬼一匹捕まえるのにどんだけ時間がかかっているのよ? それになんでそんなボロボロなのよ?」
一匹っていうな。
「路地が思ったより入り組んでいて、アルとなかなか合流できなかったんだよ。っていうかお前こそ何やっていたんだよ!」
「はー? 私はねー。ずーと迷子になったケンとアルちゃんを探していたのよっ! 暗い夜道で心細かったんだからねっ!」
「わかった。わかった。悪かったから」
「心配をかけたな」
と、アル。
「小学生みたいに道に迷うんだったら、次からは私が地図を描いてあげるから! いーい?」
「わかった。それより、今晩は遅いからニコニコおじさんのとこに泊めてもらおう」
話を切り上げようとしているのに、アリシアの説教はまだ続く。
「それにねー! 一人だと道に迷うのなら保護者と一緒にいなさい! ケンはまだ子供なんだから私のことをママだと思ってもいいわよ!」
思わねーよ! ってか、これ説教なのか?
「もしかしたら寂しくて泣いていたんじゃないの? そうでしょ! 正直に言いなさいな!」
「泣かねーよ! ってか早く休みたいんだけど」
だが、アリシアはさらに続ける。
「しょうがないから私が飴を買ってあげるわ。それで機嫌を直しなさいな!」
その時だった。
「おやっ! 君はさっきのお嬢さんかい?」
アリシアの背後から裕福で親切そうな丸々太ったおじさん。そのおじさんが声をかけた瞬間、アリシアの表情がガラリと変わった。
「どうやら保護者の人と合流できたみたいだね。今度からは、保護者の人と一緒に遊びなさい。いいね?」
ん? 保護者? どういうことだ?
「はい」
下を俯くアリシアは消え入りそうな返事をおじさんにした。
「描いてあげた地図は役に立ったかい?」
ん? 地図?
「はい」
アリシアの両の目は地面に釘付けだ。どうした? 金でも落ちているの?
「さっき泣いていたけど、もう泣き止んだみたいだね」
「はい。飴玉奢ってくれてありがとうございます。美味しかったです」
「じゃあ。もう迷子になるんじゃないよ。いいね」
「はい」
そして、おじさんは去っていった。