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この小説は絶対に読まないでください 〜パワーワード〜  作者: 大和田大和
第三巻 公平の世界
78/260

冷たくて温かい


『攻撃力大』


「そんな。終わった」



その瞬間、横から特大の斬撃が飛んできて、殺人鬼を吹っ飛ばした。

「大丈夫か? 待っていろ。すぐに助ける!」

斬撃を飛ばしたのは、アルだった。


「仲間の助けなんてあてにするようじゃ俺はまだダメだな」

「何言っている? 仲間なんだから頼ってもいい」


その後、アルに何度かパワーワードを試みてもらった。無論ルーレットで回復威力が決まる。小や中だと少ししか回復しなかったが、何度か繰り返し回復してもらったら、回復力大が出た。


戦闘の威力補正の感覚から、この世界で回復力大が出れば、どんな傷でも治るだろうとのことだった。




殺人鬼を拘束し、猿轡をはめた。

「よし! これで一件落着だな! 帰ろう」

と、アル。

「そうだな!」


俺が立ち上がろうとすると、

「ぐわっ!」

まだ怪我が完全に回復していないようだ。足がガクガクして倒れそうになった。


「仕方がないな」

アルは左肩を貸してくれた。



暗い路地を二人分の足音だけが飾る。俺の右肩にアルの左肩が触れている。義手はキンキン冷たいが、そうでない生身の部分はすごく暖かい。まるで義手が彼女の温もりを引き立たせているかのようだ。


静かな夜の街には、喧騒などない。静寂が支配した世界。耳をすませば隣にいる人間の鼓動の音までも聞こえてきそうだ。

トクン。トクン。トクン。

一定のリズムで刻まれる命の鼓動は、まるで生の証明。生きている間にだけ聞こえる音色だ。


生きている人間に触れるのは、こんなに心が安らぐのに、死体に触れると、どうして心が腐りそうになるのだろう。心臓が動いているか、止まっているかの違いしかないはずなのに。

「なあ」


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