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この小説は絶対に読まないでください 〜パワーワード〜  作者: 大和田大和
第三巻 公平の世界
75/260

不運のわけ

『ピロリロリロリロピピピピピ! ピーン! 攻撃力中』

俺の出目は中。そして、

『ピロリロリロリロピピピピピ! ピーン! 攻撃力大』

殺人鬼の出目は大。攻撃力中ということは、補正がないということらしい。本来の俺の力で切りつけることができる。


俺の通常の力と強化された肉切り包丁はぶつかり合う。肉切り包丁の重い一撃が俺の薄い剣にのしかかる。そして、そのまま重力を乗せた一撃が俺の体を優しく舐めた。


「ぐっ」

俺の体は血でグチョグチョになった。頭からバケツで血を被ったみたいだ。


「全身に“確かに刻まれた傷”はない」

俺はパワーワードで回復を試みる。


そして、悪魔のルーレットが再び回る。


『バトルルーレットスタート!』


『ピロリロリロリロピピピピピ! ピーン! 回復力小』


「くそっ! 回復もこれか!」

そして、全身を覆う傷からほんの少しだけ痛みが引いた気がする。


それにしてもさっきから出目が悪すぎるだろ。流石に、ただの運だけでこうなっているわけじゃないはずだ。一体なぜこんなに俺は運が悪いんだ?



俺は頭の中でその理由を必死で探した。

運の良さ。運の良さ。運の良さ。昨日まで俺の運気は絶好調だった。それはなぜか? それはダイヤモンドリキッドとやらを飲んだからだ。あの怪しくて都合のいい液体は飲んだ人間の運を上げる。


もしあの液体に、デメリットがあるのなら? 例えば、あの液体の効果が実は、“運を上げる”ではなく“運の前借り”だとしたら?


もしそうだとしたら、今のこの状況にも納得がいく。


作為的にルーレットが止まっているんじゃないかと疑うほど出目が悪い。だが、昨日のあの幸運のツケだと考えれば納得がいく。それなら、今すぐにここから逃げるべきだ。日を改めるか、一度この国の外に出て不運状態を解除すればいい。(この国のルールは領土内でのみ発生するため)


絶対に俺は今すぐ逃げるべきだ! 都合よく仲間が助けてに来るなんて期待してはいけない! 戦闘中に、他人の助けをあてにするなど言語道断!


だが、俺は逃げることなく戦うことにした。


そして、当然のように一方的に嬲られた。


左腕が切り落とされた。右耳がそぎ落とされた。肋骨が体外に飛び出た。臓器もいくつか損傷している。左の太ももに亀裂が走る。足の指がちぎられた。背中に大きな斬撃跡が描かれた。



全身を切り刻まれた。


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