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この小説は絶対に読まないでください 〜パワーワード〜  作者: 大和田大和
第三巻 公平の世界
73/260

瞬発力

殺人鬼は、じわじわと追い詰めるように迫ってくる。

「ゴルルルルル。グルグル」

殺人鬼は、喉を震わせるようにして鳴いている。トラの鳴き声のつもりか?


俺は傷をかばいながら後ずさる。気づけば、石壁の方に追い込まれていた。さっきと状況は真逆だ。


殺人鬼は再び肉切り包丁を高く振り上げる。

俺は、痛みを頭の隅に押しやって、水の剣の腹でガードの姿勢をとる。



『バトルルーレットスタート!』

再び機械的なアナウンスが流れる。その音は不利な俺をあざ笑うかのようだった。そして、ルーレットは止まる。


『ピロリロリロリロピピピピピ! ピーン! 防御力小』


「くそっ! またか!」

俺の水の剣は、途端に小さく薄くなった。こんなんじゃとてもじゃないけどガードなんてできっこない。


俺は、剣の腹を殺人鬼の方に向ける。薄くなって透明になった剣からは、殺人鬼の出目が見えた。

『攻撃力大』


絶望的な出目の組み合わせだった。俺の防御力は最低、敵の攻撃力は最高。殺人鬼はたーっぷりの笑顔を顔に浮かべる。間違いなく、心の底から殺人を楽しんでいる。


こいつの普段隠し通してきたであろう欲求など、もう隠すつもりはないのだろう。

この俺が、この殺人鬼の欲求のはけ口だ。


そして、左肩から右足に向かって大きく縦に斬撃を食らった。殺人鬼は、軽く肉切り包丁を振っただけだった。おそらく、ルーレットの出目によって威力が大幅に変動したのだろう。加えて、俺が下手に防御なんてしたから、それが返って殺人鬼の攻撃力を上げてしまったのだろう。防御力小だと、相手の攻撃力が増えている気がする。


俺は地面を蹴って、殺人鬼の横を抜ける。全身を貫くような痛みがあるが、今動かなければ死ぬ。

『バトルルーレットスタート!』


『ピロリロリロリロピピピピピ! ピーン! 瞬発力大』

今回は出目が味方をしてくれたみたいだ。俺は殺人鬼と少しだけ距離をとった。


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