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この小説は絶対に読まないでください 〜パワーワード〜  作者: 大和田大和
第三巻 公平の世界
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粉雪

「えっ!」

奥さんは急に、血の気が引いたように慌て始めた。顔は一気に蒼白になった。


「いや! ダメならいいんです! ごめんなさい」

「い、いえ。別に構わないわ」

急にオロオロし始めたが、奥さんは赤ちゃんを私にそっと差し出した。


「気をつけてね」

私は奥さんから赤ちゃんを受け取った。赤ちゃんを胸の中に抱くと、じっと大人しくしている。微熱の塊を両の腕で抱えているみたいだ。

「おほっ! かわゆい」

私は赤ちゃんをナデナデした。赤ちゃんのほっぺはぷにぷにで大福みたい。粉雪のように白い肌が仄暗い部屋の中で光って見える。


「いいこでちゅねー」

手で抱えられるサイズの小さな命は、私と同じように生命の鼓動を孕んでいる。


私は親に愛してもらうことはなかった。だけど、ずっと小さい時、こういう風にママに抱きかかえられていたのかもしれない。心の中に、水に溶かして薄くなった願望のようなものが生まれた。



私がママのことを思い出す時、なぜかレオリアおばさんが頭の中に浮かぶ。一体なぜだろう。



私に撫でられている間、奥さんはじっと赤ちゃんのことを見ている。表情は固く、こわばっている。私が赤ちゃんを落っことしたりしないか不安なのだろうか? いや、そう言った類の表情ではない。これは人間が何かを隠そうとしている時の表情だ。


その時だった、

「あれ? この子」

私は赤ちゃんの体に刻まれた異変に気付いた。



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