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この小説は絶対に読まないでください 〜パワーワード〜  作者: 大和田大和
第五巻 LGBTの世界
250/260

再逆転

正直、ケンの攻撃は全く見切れなかった。だけど、俺の方が強い気がする。

俺は、ケンに向かって、高らかに、

「その! まさかですよっ!」

なんの脈絡もなく突然叫んだ。透明な声が透明な空に響く。

「え? 急に何? 俺、何も言ってないけど?」

「僕の正体は、伝説の勇者の生まれ変わりです。この世に蔓延る悪を倒すために、異世界から転生してきたのです!」

「え? 何そのなろう設定? っていうかそれ俺の設定なんじゃ……」

「そのまさかですよ! 僕の家計には大体伝わるある能力があります。だがこの能力は強すぎるために封印していた。今、この能力を開放し、覚醒するとき。人はこの能力を恐れ、こう言います……チート能力とね……(ニヤリ)」

「え? なになに? 俺何も言ってないけど、急に解説に託けた自慢し出したぞ。っていうか“そのまさかです”ってどのまさかのことを言っているの?」

「そのまさかですよ! 俺のこの能力が覚醒した時、世界は……滅ぶ……」

「……俺をシカトして話進める感じね。はい。じゃ続きどうぞ」

「ケン君。君は察しがいいね。君のいう通り、この能力をコントロールできるのはこの僕だけなんだ。今からこの能力の一端を見せよう!」

「ほう? 貴様、この俺様に勝つつもりなのか? 俺様は全属性と全スキルをコンプしている。正気か?」

ついにケンもノってきた。こいつ意外とノリがいいな。

「全属性ね? これのことですか? フンッ!」

俺は、六属性の魔法の球みたいなのを空中に召喚して見せた。

「な、何? ならば全スキルもコンプしているというのか?」

こいつ結構楽しそうだな。

俺は全スキルパネルを空中に表示し、ケンに見せた。

「フンッ!」


「嘘……全スキルコンプリートですって? 聞いたことがないわ」

いや、ケンもできるって言ってただろ。

「そんな! まさか全スキルコンプしたというの?」

だからそう言っているだろ! っていうかめちゃくちゃわかりやすく俺の凄さを表現してくれるな。

「じゃ、じゃあ。この国の奴隷制度がついに撤廃されるのね……嬉しい」

ケンが全奴隷解放したって聞いたんだが、君、また奴隷になったの? っていうかまさか自分から自主的に奴隷になったの?



俺は大声で、国中に聞こえるように(特に女性に)、

「僕の凄さはまだまだこんなもんじゃないですよ! チート能力発動! “無敵”」

その瞬間、俺は無敵になった。


説明しよう。チート能力“無敵”とは、チート能力のことだ。

世界中でこの俺にしか使えないユニークスキルだ。

効果は、使用したもの(つまり俺)を無敵にするというものだ。ちなみに、効果が切れることはない。一度使ったら生涯有効だ。

熱も冷気も電気も斬撃も打撃も衝撃も銃撃も全部無効だ。

毒も眠りも麻痺も混乱も何もかも全部無効だ。

どんな攻撃を食らっても俺はダメージを喰らわない。そして、俺は一秒間に五億ポイント体力が回復する。さらに、一億年くらいなら時を停止できるし、いつでも時を遡れる。しかも、一秒間につき千億円、俺の銀行口座に振り込まれる。そして、そして、なぜか女性にモテる。この星にいる全部のメスは俺のことが好き。

最後に、死んだ瞬間にはオート死者蘇生が発動するから、死んだ瞬間に生き返る(もちろん“無敵”は再度使用可能)。


以上が説明だ。そろそろあのガキをぶっ倒すか。

俺は指パッチンした。すると、どこからともなく巨大な剣が降ってきた。俺はやすやすとそれを空中で受け止め、片手で掲げる。

「フンッ!」


「おおおー!」「ありえない」「あ、あれは……覇者の大剣。彼の地に災が注ぐ時、伝説の勇者のもとに現れる伝説の剣よ」「あんな重い大剣を片手で持つなんて……」「世界の終わりが……今、始まるわ……!」「明けない夜は……ない……!」


俺はその覇者の大剣とやらを大きく見せびらかすように振りかぶった。全世界の女性の目が俺に釘付けだ。

「フンッ!」


その時だった――

「おい! ケン! 間に合ったぞ!」

と、金髪の女性がこちらに走ってきた。ケンの仲間だろうか?

「何が間に合ったのか知らんが、もう遅い!」

俺は、覇者の大剣を思いっきり雑魚に向かって叩きつけた。


そして、ケンが反対側からぶつけてきた水の剣がそれを打ち破った。覇者の剣は粉々に砕かれて、肉片を街に注いだ。剣のシャワーが街を洗う。

「な、何? 俺の攻撃が押し負けただと?」


そして、ケンは再度俺に向かって攻撃。水の一撃を放つ。水の剣は、地べたを走りながらこちらに向かってくる。

「俺は無敵なんじゃないのか? 何で俺が押されているんだ?」

ケンは、

「ユニークスキル“無敵無効”発動!」

「は?」

水の剣は、流れるように空気中を泳ぐ。漂うように、揺れるように、こちらに向かってくる。

空中でキリ揉んで、回転し、踊りながら、俺を狙う。うねり、淀み、街を透明に飾りながら走る。そして、水の剣はロープとなって俺をがんじがらめに縛り上げた。

俺は無様に地面に倒れ込んだ。くっ。これまでか……


俺は猿ぐつわをされながら、

「むごむごむごご?」

「全部作戦通りだ。といいたいところだけど、今回は作戦とかはない」

「フゴッゴゴゴゴ」

「大したことじゃない。ただ王様がなろう系小説を執筆し終わったから、俺に再度パワーが宿った。それだけの話だ」

要は人の力を借りて、チート能力を使っただけだろ! よくそんな“一仕事しました”って顔で言えるな!

「お前の負けだ」

「ふご」

ケンは俺のもとに近寄ってくると、

「俺たちはもう敵同士じゃない。言うなれば戦友だ」

なんだ? 小説が終盤に差し掛かったから、話をまとめようとしているのか?

「お前がこの国にきた理由は知っている」

ケンは懐をゴソゴソし始めた。なんだ? 何をくれるつもりだ?

「お前、これが欲しかったんだろ? へへっ。しょうがないな。今回は特別だぜ? ほらよ」

そして、ケンは俺におしぼりを手渡してくれた。

(なんだこれ?)


そして、俺の伝説は終わった。


爆走ヤンキー伝説〜レジェンダリー俺〜


第一巻 打ち切り。


では、ここからパワーワード第六章 “さらばなろうの国”に戻ります。


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