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この小説は絶対に読まないでください 〜パワーワード〜  作者: 大和田大和
第五巻 LGBTの世界
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夢の終わり

「ギャハハハハ。ここがなろうの国かー。けっ! 右も左も美人ばっかり。男もババアもいねえ。不自然すぎるだろ。ご都合主義も甚だしいぜ!」

と、金髪の馬鹿ヅラ不良。

「『大したことないですね』、『そのまさかですよ』、『俺なんかしちゃいました』っていう主人公がいるんだろっ?」

銀髪のアホヅラ不良。

「何それーめちゃうけんね!」

と、ガングロギャル。

「おい! あれみろよ! あいつ! あいつじゃね、この国の主人公役の男。確か……ううん名前が思い出せねえや!」

金髪が俺のことを指差しながら、ボソボソ言っている。


「あいつらは……」

と、唇を噛み締めるもえ。

「ん? 何? どしたの?」

「あいつらはアンチなろう。なろう小説を徹底的に嫌って、ボコボコにこき下ろす連中よ」


「なろう小説の主人公なんて覚えるに値しねーよ! 名前の最後に太郎をつければ十分。だからあいつは“ケン太郎”だ!」

え? ケン太郎って俺のこと? もうそれ別人の名前になってない? っていうか俺の名前完全に知っているよね? 知っているふりして小馬鹿にしているよね?


俺は小声でもえに、

「ケン太郎って何?」

「お兄ちゃんのことよ。なろう系小説の主人公の名前なんて覚える必要なし。だから〇〇太郎で十分ってこと。要するにバカにされているんだからね」

「え? 俺なんかした?」


そんな俺にアンチなろうたちが近寄ってくる。

「よー。主人公さんよ! おめえまじきめーんだよ!」

「つーかうぜっ! 速攻死んでくんない?」

「何それーめちゃうけんね!」

と、俺の顔を指差しながらギャル。


「お前ら俺に何か文句あんのか?」

つーか誰だよこいつら……

「大有りだ! てめー! インキャのくせに、ヒーロー気取ってんじゃねーぞ! カス!」

「現実の世界に居場所がないからって、こんなごみためみてーなとこに逃げやがって!」

「何それーめちゃうけんね!」


「何の話だ? 今日初対面だよね?」


「うるせー! 俺はなろう系の主人公が全員嫌いなんだよっ! どいつもこいつも口を揃えて『異世界転生!』『リセット!』って、どんだけ現実逃避がしてーんだよ!」

「だいたいヒロインが全員主人公にだけ高感度マックスって、ご都合主義すぎるだろっ!」

「それに、チート能力なんてあるわけねーだろ! ばあああか! しね! しね!」

「何それーめちゃうけんね!」

と、ギャル。俺の顔を指差している。うぜ。ってかボロクソ言い過ぎじゃね……


俺は、“やれやれ”という表情で、両方を竦めて見せた。これが漫画だったら“やれやれ”という効果音が空中に表示されていることだろう。そして、

「やれやれ」


「うっわー! こいつうっぜー! やっぱなろう系は無理だ! 鳥肌もんだ!」

「なろう系の主人公ってみんなこいつみたいにウゼーの? マジ殺したくなっちゃうぜ!」


「いいえ! こんなにうざいのはお兄ちゃんだけです!」

と、元気よくもえ。

「え? 俺のことうざいって思ってたの?」

「お兄ちゃんはこの国に来たどの主人公役よりもうざいです!」

「え? もしかして今までずっとそう思ってたの?」

俺はおろおろしながらもえに聞いた。


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