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この小説は絶対に読まないでください 〜パワーワード〜  作者: 大和田大和
第五巻 LGBTの世界
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間接キス


第一章「僕たち付き合っちゃおうか?」〜ドキドキこの胸の高鳴りは何?〜


俺たちはなろうの国のホテルに泊まった。この国に平和をもたらしたお礼として、最上階をワンフロア丸ごと貸してもらった。

一人につき、一部屋ずつ“デラックススウィートルーム(豪華)”をあてがわれた。俺たちは、もえの部屋で(ジュースを)飲んで、騒いで、トランプで遊んで、イチャイチャして、ハーレムして、なろうをした。


俺はアリシアが手で持つトランプを見る。多分こいつがババを持っている。

すると――突然――

「どこ見てんのよ? エッチー!」

アリシアが立ち上がって、俺を指差しながら叫んだ。

「えぇぇ? トランプ見てんだよ……」

すると、なんの関係もないアルも突然スッと立ち上がって――

「どこ触っているんだこのえっち!」

見てないし、触れてないのに、アルが急に叫んだ。

「えっ? えっ? えっ? どこも触ってねーよ! 俺まじでなんもしてないよね? っていうか急に立ち上がって、叫ばないでくんない。怖いんだけど……」

アルにならうようにして、ウレンもすっくと立ち上がり、

「どこ揉んでんのよ? この……」「えっちだね……」

照れた顔でこちらを見る。

「おええ。ババアのはきつい……ってか俺椅子に座ってトランプしてるだけなんだけど……しかもなんでわざわざ立ち上がって言うんだ?」

「子供を膝に乗せるなんて、ケンの変態っ! ガルガル」

ウルフは幼女らしく俺の膝の上でちょこんとしている。

「おめーが勝手に座ったんだろ! っていうかさっきから手札が全部見えている……」

「どこ見てんだよっ!」

と、背後を振り返るウルフ。

「お前の手札だっ! 隙あり!」

俺は手札覗き作戦で大人気なく勝った。


遊んで遊んで遊びまくった。一生で一番楽しい夜だった。こんな風に友達と遊ぶのなんて一生で初めてだ。遊び疲れると、

「じゃあ、また明日」

俺たちはそれぞれの部屋に戻って寝た。


そして、夜が明けた。


「ううん。むにゃむにゃ。昨日は楽しかったな。ん?」

その時だった。俺の右半身に暖かい何かが触れているような感触があった。

これはもしや、朝起きたらヒロインの女の子が昨晩寝ぼけて俺のベッドに吸い込まれるようにして入り込み、朝起きたら添い寝しちゃっていたパターンのやつか?

誰が隣に寝ているのだろう? アリシアか? アルか? ウレンか? もえか? まさかウルフか? ウルフはガキンチョだから流石にまずいな……

そんなことを考えながら、俺は恐る恐る目を開けた。


すると、そこには“見たこともない人”がいた。髪の毛はピンク色でド派手。童顔で死ぬほど可愛い。さらに顔は超可愛い。さらに付け加えると顔は非常に整っている。そして、顔は均整の取れた顔立ちで、顔が可愛い。顔は超可愛い。マジで可愛い。

少したわわでセクシーなネグリジェはセクシーだ。色気が空気に溶け出しているみたいでセクシーだ。

女の子のセクシーからは、嗅いだことがないようないい匂いがする。香りは、脳の中にぶっ刺さって、俺の脳は今にもとろけそうだ。


だけど、俺は困惑した。この女性はいったい誰なのだろう?

「え? 誰?」

すると、女の子は起きた。

「ううん。むにゃむにゃ。どこここ?」

そして、俺に向かっていきなり――

「きゃあ! お兄ちゃんのエッチー!」

女の子は跳ね起きて、ベッドから出た。

「お兄ちゃんって俺のこと? っていうか君誰?」

「お兄ちゃんのドエッチぃぃぃぃーーーーっ!」

「え? 待て待て! マジでどうやって部屋に入ったの? 鍵かけていたよね? ピッキングした?」

「お兄ちゃんなんてもう知らない!」

女の子はバタバタと部屋から出て行った。

「え? マジで誰?」

俺は部屋に一人残されて、頭を抱えた。沈黙が部屋を飾る。

「え? 本当に誰? なんで俺のベッドに当然のようにいたの? 漫画の中なら楽しいかもだけど、実際にあると怖いだけなんだけど。つーかマジで誰だったんだ?」



俺は支度を済ませて、ロビーのラウンジに降りた。テーブルに着いて、頭を抱えて、

「さっきのはマジで誰だったんだ……」


そんな俺に、

「ケン……おはよう。はい、これケンの朝ご飯なんだからね」

「ん? ありがと」

俺はもえからロールパンを受け取った。

「勘違いしないでよね! それは私がケンのために作ったんじゃないんだからねっ!」

「いや、見りゃわかるよ。あそこのパン置き場から取ってきたんだろ?」

俺はそれを口に入れると、もえの顔がみるみる赤くなっていることに気づいた。

「そ、それ私の食べかけなんだからねっ! 間接キスしたからって勘違いしないでよねっ!」

「お……おう」


「ケン。おはよう! 昨日はお疲れ様。パン食べる? 私が口つけた後だから間接キスになっちゃうけど!」

と、アリシアが俺の隣に座った。

「ん? ああサンキュ」


「ケン。おはよう! 昨日はお疲れ。水飲むか? 私が口つけた後だから間接キスになっちゃうけど!」

と、アルが俺の隣に座った。

「あ、ありがとう」

この国に入ってから、こいつらめちゃくちゃ俺のことをチヤホヤしてくれるな。


「ケン! 昨日はかっこよかったぞ! ガルガル。はい! パン食えよ! 間接キスだけど!」

ウルフから受け取ったパンも食いかけだった。つーかこいつらなんでわざわざ一回口をつけてから渡すんだ?


多分バケットからパンを取ってから一口だけ食ってそれを俺にわざわざくれているんだよな……


「昨日は本当にかっこ良かったです。はい! パンどうぞ! 私が口つけた後ですけど!」

見知らぬ女性が俺にパンをくれた。

「ど、どうも」

つーか知らない人の食いかけのパンはなんか嫌だな。っていうかなんで頑なにパンをくれんだ? スクランブルエッグとかもあったよね? なんでパンオンリー?

「それは間接キスができないからなんだからね! もー言わせないでよ! エッチ!」

と、もえ。


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