成り上がり逆転劇
第五章 ココ
そして、俺とココの修行は再開された。ココは強くなった。差別と罵詈雑言の雨は彼を鍛え上げて強くした。
ココはクロコダイルに面と向かって、
「僕にこれ以上近寄るなっ!」
俺はココから離れて、一言も喋らずにそれを見る。
「なんだとっ? ココのくせに生意気なんだよっ!」
クロコダイルは右手でココに殴りかかる。ココは、それを受け止めクロコダイルを投げ飛ばした。
「ぐわっ! いてて……」
「これくらいで痛い? 僕がお前たちから受けた痛みはこんなもんじゃない!」
ココはすごい剣幕で怒鳴りつける。それを見て、
「チッ! ココのくせに……」
クロコダイルは尻尾を巻いて逃げて行った。
それを見て――
「「やったー!」」
「僕一人で、クロコダイルにいじめをやめさせたんだ!」
ココは自信に満ちた顔で自分の勝利を噛み締めた。
「うおおおい。おいおい。うええええんでしゅ」
ゴリアテは戦車のような巨体を震わせて嬉し泣いている。
「ココちゃん! すごいわ!」
アリシアも喜んでいる。
それからココの逆転劇は勢いよく幕を進め始めた。
あるときは、
「大丈夫ですか? 包帯で失血箇所を押さえてください」
ココは男性カップルを救った。
またあるときは、
「僕の目の前から消えろ!」
ココは差別主義者(オクトパスとは別のやつ)を拳を使わずに撃退した。
そして、ココの評判はどんどん上がって行った。
「あの人が助けてくれたのよ」「すごく強かった」「私たちの希望よ」「僕もああいう風になりたいな」「俺もここにいていいんだな」「あの人は静的少数派の太陽だ!」「この国にはココさんがいてくれる!」
ほんの少しだけココの人生は前に進み始めた。




