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この小説は絶対に読まないでください 〜パワーワード〜  作者: 大和田大和
第五巻 LGBTの世界
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オクトパス


第四章 オクトパス


「うわっっ!」

俺はびっくりしてそれを放り投げる。

「確実に中にオクトパスがいる! 行くぞ!」

そして、俺たちは家屋に侵入した。そこにいたのはクロコダイルだった。


手は血で真っ赤に濡れている。滴り落ちる血液は、まるでせせらぎのように美しい。

「くそっ! 本当にお前だったのか?」

「クックック。俺はオクトパス。少数派は根絶やしにしてやる!」

クロコダイルは手についた血を、舌でチロチロと舐め始めた。気色の悪い。

「お前は本当にクロコダイルか?」

「ああ。もちろんだ」

その時だった。

「はすへへー!(助けてー!)」

部屋の隅にいる女性が叫んだ。口には猿轡。目からは涙が滝のように溢れている。足と手はクロコダイルの攻撃を喰らったのだろうドロドロに溶けて滴り落ちている。さっき投げつけてきた首はこの女性の奥さんなのだろう。

オクトパスは、

「お前たちの目の前で黒いガスを発生させただろ? あれは俺が普段使っているドラッグ“クロコダイル”を気体にして飛ばしているんだ。クロコダイルは強い快楽を感じさせてくれるが、大きな副作用がある」

俺はココの家でその書物を読んだ。

「よく知っている。デソモルヒネにガソリンを混ぜて作ったクロコダイルは、人の皮膚をドロドロに溶かす。その傷口はまるでワニに噛み付かれたかのように焼けただれるんだ」

「その通りだよ」

人質の女性は、クロコダイルによって手足を溶かされていた。かわいそうに。

「ココ! 特訓の成果を見せてやれ! こんなやつに遠慮する必要はない! 行け!」

「わかった! 花よ! 食い尽くせ!」

だがなにも起こらない。

「はっはっはっは。まだ特訓の成果とやらは出ないらしいな」

「くそ……あんなに特訓したのに……」

「なら。こっちの番だ」

そして、生きている麻薬クロコダイルとの戦闘が始まった。


戦闘が始まるや否や――

(空想状態発動!)

俺は空想状態になり、一瞬でオクトパスの背後を取る。そして、

「もらった!」

(こいつの能力は危険だ。一撃で決めてやる!)

背後から水で獲物に切り掛かった。

ズバアアアっ! 血飛沫が空を泳ぐ。

オクトパスは、背中に不意打ちをくらって怯んだ。

「ぐっ!」

だが、すぐに窓を割って屋内から飛び出した。ガラスのシャワーが床で音を奏でる。

「ココは女性の治療を!」

そして、俺たちは家から飛び出した。


家に残されたココは、

「治りっこない大怪我が治る」

女性の治療に当たる。

(くそ……あんなに一生懸命頑張ったのに……どうして僕はいつもこうなんだ……?)

ココは自分を責めた。そんなことをしてもなににもならないのに。責任感の強いココは、自分の弱さを悔いた。



「水よ! 燃えろ!」

右手で水を掴む。水が常温のまま沸騰し始めた。俺の手の中で弾ける。ふつふつと空気にその身を焦がす。

焼けるような感覚だけが手にヒリヒリと残る。

俺は水の剣を長く延長させる。極太のムチのようになる。しなりながら、鎌首をもたれる。

俺は右回転しつつ鞭攻撃を放り投げた。ムチは空を泳ぎながら哀れなワニを目指す。巨大なアナコンダは小さなワニをも食うと言う。今、まさにそれと同じような状況だ。

「いけっ!」

ムチの蛇は、オクトパスに絡みつく。オクトパスの小さな体を水ががんじがらめに縛り上げる。彼女の柔らかそうな肌が締め付けられて、血を零す。

「ぐあああああ!」

「よくも罪のない人を殺したな!」

俺はさらに力を込める。水のムチはさらに彼女の体に深く食い込む。彼女の白い肌の上で透明な蛇がグラデーションを生み出す。

彼女の体中から骨の悲鳴が聞こえる。

(このまま体の骨をへし折ってやる!)

オクトパスは、体をよじって逃れようとするができない。

「仕方がない……虹よ!」

すると、オクトパスの体表にさざなみのようなものが生まれた。皮膚が小刻みに揺れ始める。まるで皮下で何かが蠢いているようだ。

「なんだ?」

オクトパスの体はさらに激しく脈打つ。皮膚の下の肉が踊っているみたいだ。筋繊維がウネウネと動き、彼女の肌はさらに白く透明感を持ち始めた。

彼女の肌はさらに白くなり、透け始めた。

「なんの能力だ?」

「クックック。俺はオクトパス。変幻自在の暗殺者だ」

そして、衝撃音とともに、彼女の皮下物が対外に飛び出た。


ウネウネウネウネ。のらりくらりと空気を漂う。


クネクネクネクネ。柔らかい筋肉が空に足を伸ばす。


「蛇はワニを食い殺す。だけど、タコは蛇を食い殺すのさ」


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