おかま屋さんとおなべ屋さん
「あっはっはっはっはっは!」
俺は腸捻転がもう一度捻って、普通の腸に戻るくらい笑った。
「ひえーん。これじゃ彼氏ができないー! っていうかケン髭生やし下手すぎ!
指とかひざ小僧からもヒゲが生えているんですけどぅ」
『パワーワードを感知しました。アリシアの能力が上がります』
「おめーが抵抗するからだろ! アッハッハあははは」
アリシアは気付いていないけど目玉からも髭が生えている。
パチパチ瞬きするたびに髭がチョロチョロ動く。
面白いけど気持ち悪い。
「お兄ちゃんたち。悪ノリしすぎでちゅよ。アリシアお姉ちゃん。
トイレで取ってくるでちゅ。指で引っ張ればつけまみたいに取れましゅ」
「俺も笑いすぎてトイレに行きたくなってきた。俺もトイレ行こっと」
俺とアリシアはトイレの前まできた。トイレは四種類あった。
「へー。こんなにしっかり分けられているんだな!」
トイレは、“男性用”“女性用”“おかま用”“おなべ用”の四種類もあった。
「ケン! あんたはどこに入るつもり?」
「男性用だよっ!」
トイレから出ると、ゴリアテとココはいなくなっていた。
「どこいったんだ?」
俺はひとまずアリシアを待った。
しばらくしてから顔を腫らしたアリシアがトイレから出てきた。
「ケンのおばかー! なんで目玉に付け髭つけるのよ! 死ぬほど痛かったんだからね!」
「悪かったよ。髭剃り奢るから勘弁してくれ」
「要らないわよ! それよりゴリちゃんとココちゃんは?」
「さあ? 店の外じゃないか?」
俺たちが店の外に出ると、そこは血の海だった。




