なくならない差別
「“自分らしくいられる”。その言葉は決していい言葉ではないでしゅ。全員が自分らしくいられるということは、無法地帯のようになってしまうということ。凶暴な人や差別主義者の意見も尊重されてしまうのでしゅよ。
おかまを毛嫌いする人や、気持ち悪く思う人。少数派に対して差別をする人たち。
彼ら(差別主義者)も、見方を変えれば、また少数派なのでしゅ。
この世界では、自分らしくいられる。だから差別主義者も自分らしく生きていけるのでしゅよ」
差別を無くそうとすることによって、差別が生まれる。
それはまるで、どうすることもできないこの世界の矛盾を表している。
無理に差別をなくすことなどできない
嫌いな奴と無理やり生きていくことはできない。
“少数派を認めろ”という強迫観念はより強く差別者を圧迫する。
そして、抑えきれなくなった時に爆発してしまうのだ。
「だからココちゃんにはあんまり友達がいませんでした。いつも一人で暮らしていまちた。
だからあたちは、あんなに嬉しそうなココちゃんを見て嬉しくなっちゃいまちた」
ゴリアテは涙を拭いて、笑顔を咲かせた。
「仕事に取り掛かるのは、もうちょっとみんなで遊んでからにしまちょう」
「そうだな」
「仕方ないわね!」
「おめーは遊びたいだけだろっ!」
そして、俺たちはもう少しだけ遊ぶことにした。