表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この小説は絶対に読まないでください 〜パワーワード〜  作者: 大和田大和
第五巻 LGBTの世界
178/260

依頼人登場

「君が依頼人?」

「はい。そうです……」


依頼人は、男性。おかっぱのダークグリーンの髪がすごくダサい。

両目は完全に長い前髪に隠れて見えない。

表情を隠す髪の毛は、まるで仮面のようだ。


大人しそうな地味な服装。顔はすごく中性的で、地味めだ。

声は消え入りそうなほどか細い。女の子の声のように高く、蚊の鳴き声みたいだ。


目線は常に下を向いている。地面に釘付けだ。きっとすごくシャイなのだろう。

全身から発生するオーラはまるで火の消えたロウソク。残り火すらないほど大人しい。


存在感もほとんどない。目の前にいるのに見失いそうだ。

「この子が依頼人のココちゃん。でしゅ。体は男性で、中身は女の子でしゅよ」

「そうなんだ。よろしく! ココ! それで依頼内容は?」

ココは俺を無視して、ゴリアテに何か耳打ちした。


「えーと。ココちゃんは、この国に出没する性差別主義者に虐められているらしいでしゅ。

それで、ケンお兄ちゃんにそいつを捕まえて欲しいらしいでしゅ!」

と、ゴリアテ。


「あ。そういうことね。そういうことならこの俺ケンとアリシアに任せてくれ! 絶対にとっ捕まえてきてやるよ!」

ココは再びゴリアテに何か耳打ちした。


「ココちゃんが“ありがとうございます……”って言っているでしゅ」

「あのう。ココは自分では喋らないの? 俺のことは友達だと思ってくれていいぜ?」


ココは首を横にフルフルと振る。


「なんでだよっ!」


友達になるのを断られて、すごく悲しい気持ちになった。


「ケンだっさーい(笑)! 友達になるの断られてるー! はっずかしー!」

と、元祖がちぼっちが煽ってきた。


「うるせっ!」

アリシアはココの方を向いて、

「ココちゃんは私とお友達になりたいのよね? ケンなんて放っておいて私と楽しくおしゃべりしましょう!」


ココは首を横にフルフルと振る。


「おめーも断られているじゃねーかよ(笑)!」

俺は爆笑(笑)した。


「うるさいわねー!」

「っていうかなんでココは俺と直接喋ってくれないんだ?」


ココは一瞬、体をピクッと動かしてから黙り込んだ。じっと地面を見つめて、仁王像のように座っている。

一切動かずに、ただ時が過ぎるのを待っているみたいだ。



五分が経った。依然沈黙のベールは破られない。


十分が経った。思い沈黙が俺たちの体に蓋をする。


十五分が経った。絶望するほどの沈黙が俺たちの体の上を滑る。


「わ、わかった。ココはシャイなんだな。まあ、無理しなくていいからちょっとずつ仲良くなろうか」


ココは首を横にフルフルと振る。



「なんでだよっ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ