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この小説は絶対に読まないでください 〜パワーワード〜  作者: 大和田大和
第五巻 LGBTの世界
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第五巻 エルジービーティーの世界


第五巻 エルジービーティーの世界


[おさらい(簡単な登場人物と造語の説明です。読み飛ばしても構いません)]


『味方サイド

ケン 実年齢は四歳。アリシアの空想の友達。水を操る。ドラゴンナイト(竜人)になれる。空想状態(透明人間みたいなもの)になれる。

アリシア 炎を操る。銀髪。蜂蜜色の目。

アル 両手両足がない金髪女騎士。絵を操る。ハイデルキアの姫だった(破門された)。

ウレンケル 黒髪黒目。ケンたちの仲間。手にはめた指人形を使って喋る。

ウルフ ガキンチョ。狼人間。変身能力がある。

レオリア ウレンのおばあちゃん。

前竜王 三つ首の金龍。最強の存在だったが、後述のダーク・クーザに殺害された。


敵サイド

ダーク・クーザ ウェーブの白髪。正体・能力ともに不明。現在の竜王。こいつがハイデルキアに攻めてくる。

“どす黒い光” 敵チームの団体名。目的不明。構成人数不明。

エディフィスドラゴン 前前竜王の息子。頭から大砲が生えて、全身武器の竜。ケンに敗れた。


敵か味方か不明

創造主様 ケンと同じ顔をしている。正体・能力ともに不明。


造語

パワーワード電話 遠く離れた人と通話ができる能力。誰でも使える。

パワーワード予知 未来予知。頑張れば予知は回避できる。誰でも使える。

パワーワードの限界 全部で四段階ほどある。要は異能のレベル。


超ざっくりとしたあらすじ

ハイデルキアが何者かによって滅ぼされる未来が見えた。ケンたちはその未来を変えるために戦い続ける』






序章 魔法少女の誘惑


俺は公平な国の公平なレストランでの出来事を思い出す。


【『いらっちゃい。今日はあたち魔法少女ゴリアテが店主でしゅ。三名ちゃまでちゅか?』

店主はゴリゴリのムキムキのゴリマッチョな男性だった。


声は異様に甲高く、服装は魔法少女の標準装備のようなものだった。

ピンクのフリルと超ミニスカからは、青筋が浮き出ている野太い足が見える。


腕はサイとゾウとライオンとカバとバイソンを同時に絞め殺せそうなほど太い。

まるで戦車のような存在感がある。

そして、体形からは想像できないような可愛らしい声を発する。この人キャラ濃いな】


あの時の魔法少女ゴリアテが俺の目の前にいる。

椅子に座るその佇まいは、まるで濃厚な殺人ゴリラ。


鈍重な圧力を周囲に振りまいている。一握りで人間の頭蓋など砕くことができよう。


こいつ一人でゴリラの群れと同じくらいの戦闘力を持っているはず。

ということは俺はゴリラの群れと対峙しているのと同じだ。


こいつの腕力は山をも砕き、海をも干上がらせる。目が合っただけで人を殺しそうだ。

こいつは殺人ゴリラだ。きっと罪のない人を何人も何人も葬ってきたに違いない。

多分プロレスラーとかを殺している(はずだ!)。


殺人ゴリラは血に飢えた目で、俺に語りかけてくる、『お前を八つ裂きにしたい』と。

言われなくてもわかっている。こいつは……俺を殺したがっている。


「俺を殺すのはいい……だけど、俺の仲間には手を出すなっ!」

気づけば俺は叫んでいた。恐怖に顔を歪ませて、必死で声を絞り出す。


殺人ゴリラ別名魔法少女ゴリアテは、

「な、なんのお話でしゅか? あたちは、そんなことちまちぇん!」


「じゃあ一体何が目的だっ? プロレスラーを殺すだけじゃ物足りないってのか!」

「もう一度言うけど、お兄ちゃんは一体なんのお話をしているのでちゅか? 

失礼でちゅ! あたちの見た目がこんなだからって偏見でちゅ!」


殺人ゴリラゴリアテは、呆れたような顔になった。巨大な額にはどす黒い血管が浮き出て彫刻のようになっている。

「じゃあ一体何が目的なんだっ? プロレスラーの次は誰を殺すっていうんだ?」


「プロレスラーなんて殺していまちぇん! あたちはここに依頼があってきまちた! 

さっきからお兄ちゃんはあたちの話を聞いていまちゅか? プンプン!」

山脈のように大きな少女はプンプン怒っている。

腕に浮き出たミミズのような血管が、脈を打ちながら皮下で蠢いている。



こいつは竜王よりも怖い。俺は恐怖を飲み込んで、

「まさかプロレスラーを殺す手伝いをして欲しいのか? 

だめだそんなの! 殺人に手を貸すことはできない!」


「だからプロレスラーなんて知りましぇんよ! うぇえええん」

殺人ゴリアテは、ちょっと鳴き声のようなものをあげた。

その鳴き声は、野太くて、ゴリラの悲鳴によく似ていた。不気味な音波が俺の鼓膜に滑り込む。


「何? プロレスラーを捻り潰すのが目的じゃないだと? 

そんなバカな! なら一体なんのためにきたんだ?」


「依頼があってきまちた!」

魔法少女は声帯を震わせながら声を出す。

声はやけに甲高く、死際の断末魔と聴き間違えるほどだ。


「依頼? 依頼だと? なら客ってことか? 

なんでそれを早く言わないんだ? 

俺はてっきり人でも殺しに来たのかと思ったよ。んでなんの依頼だ?」


「さっきからずっと依頼あるって言っているじゃあ……もういいでちゅ」

ゴリアテは観念したのか依頼内容を話し始めた。


「依頼内容は至ってシンプルでちゅ。

あたちの住んでいる世界、エルジービーティーの国に来て人探しをしてほちいのでちゅ!」

「わざわざ俺に?」


「そうでしゅよ! パワーワード使いのケンは強いってよく聞くでちゅ。

あちこちで噂になっているでちゅからね!」


その時だった。

「あれ? ケンにお客さん?」

竜王の息子の金龍どらにゃん(アリシア命名)が話に割って入ってきた。

前回の竜の世界の時よりも随分と大きくたくましくなった。母親の面影が次第に顔にちらつくようになってきた。


「うひゃあん! ドラゴン! あたち本物のドラゴン初めてみるわ!」

と、本物の魔法少女ゴリアテ。『俺は本物の魔法少女を初めて見た』とか言うとめんどそうなので言わない。


「ケン! この依頼で戦果を挙げれば……」

と、どらにゃん。


(ここでこの依頼を成功させれば、エルジービーティーの世界といい関係を築ける。乗らない手はないな)


「よし! 依頼も簡単そうだし! 乗ったよ! 俺が責任を持ってそのプロレスラーを探してみせる!」

「プロレスラーを探して欲ちいんじゃありまちぇーん!」


そして、俺はエルジービーティーの世界とやらに行くことになった。


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