表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この小説は絶対に読まないでください 〜パワーワード〜  作者: 大和田大和
第四巻 竜の世界
161/260

貫けハーーーーーーーーー!


俺が馬鹿だった。来るかもわからないものをあてにして、自分の力を信じていなかったんだ。そんなやつに勝利なんて訪れない。

「水よっっ! 燃えろっ!」

燃え盛る水を全身に纏った。水でできた鎧を着ているみたいだ。



もっと自分の力を信じるんだ。俺なら勝てる。最後の勇気のともし火を心の中に探した。まだどこかに残っているはずだ!


積み重なった灰の山の一番底から煙が吹き出る。


全身を抱く水は鋭利に、激しく尖り始めた。トルネードのように乱回転を初めて空に乱れ桜を水の絵の具で描く。飛沫は空気を泳ぎ、透明な色を振りまく。



「空想状態発動!」

と、叫んだ。



「何だ。さっきと同じ攻撃じゃないか。それが奥の手なんてな」、「同じ攻撃は二度もくらわない」

先代の竜王はすぐに背後を振り向いた。


(同じ攻撃は二度もくらわない。そうだろうな)


俺の体は存在が透け始め“なかった”。虚ろになった現実は虚像とな“らず”、現世との関わりと断絶など“しない”。

世界と世界の狭間に体を滑り込ませ“ない”。誰でも簡単に俺のことを知覚することが“できる”。


(先代の竜王は、不意打ちのプロ。俺はそいつを騙さないといけない。わざわざ自分の能力を説明し、目の前でやってみせた。丁寧に作り込まれた戦術ならもしかしたら俺に勝利をもたらす“かも”しれない!)


空が俺の頬をきる。翼の間を縫った風は、気持ちよく流れる。清々しい清らかな空気は、俺の勇気を再び燃え上がらせる。


残火の中に残る最後の火花。まだ燃え尽きていない勇気がその中にあった。


火花は燃え上がり、火柱になる。赤熱する勇気が俺に力をくれる。


諦めない勇気だけが、人を強くする。


先代の竜王はキョロキョロと周囲を探す。

「何だ? どこにもいないぞ?」、「しまった! まさかさっきのはハッタリか!」



「その通りだ!」

俺は“空想状態発動”と叫んだ。だがそれは叫んだだけ。それに先代の竜王はまんまとハマった。いもしない空想の俺を馬鹿みたいに必死で探していた。


俺の体は右回転しながら、槍のように尖る。弾丸よりも速く。光よりはちょっと遅い。


「俺の勝ちだっ! ドラゴンバズーカっ!」

俺はそのまま全身で体当たりをした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ