父親
そして、
「俺はまだ負けてねえぞぉ! 俺は竜王を殺すまで諦めない! 俺は何があっても絶対に諦めたりしない! ぜっったいに俺が次の竜王になるんだ!」
『パワーワードを感知しました。エディフィスドラゴンの能力が大幅に上がります』
アナウンスは続けて、
『エディフィスドラゴン様のパワーが上がりました。これより竜状態の第三段階に移行します。
第三段階まで到達できたのは、あなたで五人目です。次の段階を目指して頑張ってください』
「ヒャヒャヒャヒャヒャヒャ! どうやら勝つのは俺のようだな! 親父! 俺に力を貸してくれ! 俺があんたの仇を取る! この世界では力が全てだ!」
思えばこいつは卑怯な手ばかりを使っていた。あれは父親譲りの戦術だったのだ。
武器の竜。いやエディフィスドラゴンの両手、両翼が取れた痛々しい体がモコモコと胎動を始める。きっと山脈のように巨大な竜に変身するんだ。
「さあ! 皆殺しだ! この世界では殺人は罪にならない! だから俺は泣き寝入りだった! あいつはクソみたいな親父だった! だけど俺にとってはたった一人の父親なんだよ!」
こいつの父親は竜王に殺された人物だ。竜王に直接殺された人物は少ないはず。ほとんどの場合降伏するか、パワーワード予知で死を回避するはず。
誰だ? 誰が父親なんだ? 竜王との決闘を回避できない立場にいた人物があいつの父親だ。考えろ! 誰だ? 俺はそいつを知っているはずだ!
「子竜を誘拐していたのは、人質にして竜王に勝つためだったんだがな! この力があれば親父が直接リベンジできそうだぜ! ヒャヒャヒャ!」
エディフィスドラゴンの体はむくむく膨れ上がる。膨張し体積を何倍にも膨れ上がらせる。まるで一つの山脈のように巨大になった。
山脈からは巨大な武器や戦艦が生えている。戦車や大砲が鱗のようにびっしりと並んでいる。
そして、エディフィスドラゴンの父親は完全に憑依を成功させた。
「よくやったぞ! 我が息子よ! これで積年の恨みを晴らせる! 俺が元の時代を再建してやる! 逆らう奴はかつてと同じように皆殺しだ!」
俺は山脈のような巨竜を見上げた。俺はこの巨竜を見たことなどない。会ったこともない。
だが視神経を通して伝わる圧力と、無限大のパワーがこいつが誰なのか俺に教えた。
俺は巨竜に向かって、
「お前の父親は――