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この小説は絶対に読まないでください 〜パワーワード〜  作者: 大和田大和
第四巻 竜の世界
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ダメージ

俺は空中で急旋回。

(これで奴は俺を見失ったはず!)

両の目で獲物を捉える。視界の中心に捉えられた武器の塊は、まだ俺を探している。


“しばらく観察してわかったあいつの弱点”は、スピードの無さ。ワイバーンタイプではない上に全身が武器に覆われている。力が全ての世界だが、腕力だけがあればいいわけではない。スピードや回避力も大事な力だ。

加えて視界の狭さも弱点といえよう。


攻撃するために顔面には巨大な砲口がある。それにより前方は視界で捉えやすいだろう。

だが、後方は完全に視界の外だ。事実、俺が背後を取るとすぐに俺を見失ったかのようなそぶりを見せていた。


両翼についている巨大な盾も視界を狭めているだけだ。

俺は武器の竜の背後に回った。空中で静止、獲物のうなじを見つめる。


うなじは生物の弱点の中でも最もポピュラーなもの。最も視界の中に入れにくく、両手、両翼、両足でもガードできない。さらに、うなじの下には、たくさんの神経と背骨が埋まっている。

強力な攻撃を加えられたら一撃で即死してしまう可能性すらある。


俺は右翼に力を込める。翼の内部の骨がミシつく。

左翼にも力を込める。表面のなめし皮のような膜に緊張が張り詰める。


そして、足元の空を蹴って前に飛んだ。


目指すは、武器の竜のうなじ。そして、その下にある背骨と神経。一撃で仕留めてやる!


首をもぎ取ればもうパワーワードを発することすらできない。

風の粒が次々と俺の背後に流れていく。まるでワープをしているかのようだ。透明な空気の幕を切り裂き、爽やかに進む。自分が風の剣にでもなった気がする。


いける! まだ敵に気づかれていない。

ぐんぐん近づいていく。

数メートル手前まで来た。

まだ気づかれていない。そして、


「もらった!」

俺は敵のうなじに渾身の一撃を加えた。




渾身の一撃は熾烈なダメージを生み出した。弾けるような鮮血が空に舞う。



ダメージを食らったのは、敵ではなく俺だった。


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