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この小説は絶対に読まないでください 〜パワーワード〜  作者: 大和田大和
第四巻 竜の世界
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おもちゃ片付け

「確か北下ほっかのダンジョンよ! クリスタルガーデンってとこ」

アリシアは地図を見せてくれた。


「北下か。この世界の方位はわかりにくいな」


この世界は、上下に縦に長い。だから東西南北に上下が加わっているのだ。


通常の東西南北で横方向を表して、その後に縦のどの位置かを表す上下を付け加える。


例、北西下 北西に行った後に、下に降りる。

  南北上 南北に行った後に、上に登る。


だから、北下は、北に行って、下に降りるんだ!


「そこに竜王の直属のドラゴンナイトたちがいて、そいつらに合流しろってことだったよな?」

「ああ。竜王ほどではないが、相当強いだろうな。おそらく私たちが行かなくても事件は解決するだろうな!」

「じゃあなんで行くんだよ!」


「ケンが竜王に気に入られたからでしょう。さっさと力を示してきなさいな! 私とアルちゃんはのんびりお茶でもすすって待っているから!」

「オメーも来るんだよ!」

そして、ブーブー文句を垂れるアリシアを引きずってダンジョンへ向かった。





[一方その頃 クリスタルガーデンにて]


真紅の血がクリスタルを汚す。透明なガラス細工は見るも無残に赤色で染め上げられた。光を綺麗に反射するプリズムはもう機能しない。ただ鈍い赤一色に輝くだけだ。


床も壁も天井も何もかもが血飛沫で汚された。仄暗い室内に血の匂いが充満している。



周囲には肉や骨が散乱している。まるで子供がおもちゃ箱をひっくり返して遊んだ後みたいだ。


楽しく遊んだ後は、散らかったおもちゃが地面にいくつも転がっている。そんな場面を想像してほしい。


それを見てお母さんがいつもよりちょっと怖い顔で、叱りつける。『こら! 早くお片づけなさい!』

そして、子供はしぶしぶおもちゃを箱に戻す。そうしないと次のおもちゃを買ってもらえないから。


だけど、このダンジョンの中は暖かいお家の中なんかじゃない。

叱りつけてくれるお母さんも、守ってくれるお父さんもいない。こわーいこわーい悪者がいる。


誰も助けてくれないし、誰も守ってくれない。本物の恐怖と地獄絵図を見て、お母さんのことを思い出す。


お母さんがいつも子供を叱るのは、ダメにならないように。嫌な大人にならないようにするためだったのだ。


優しいお母さんに叱ってもらえるのは幸せな証拠。子供はみんな、『お母さんなんていなければいいのに』と考える。


だけど、不幸なことはお母さんがいないこと。叱りつけてくれる人がいないと、人間はダメになる。嫌な大人になるのだ。


そう、大人になってもおもちゃを片付けられなくなっちゃうのだ。


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