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この小説は絶対に読まないでください 〜パワーワード〜  作者: 大和田大和
第四巻 竜の世界
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赤ちゃんドラゴン

「私もケン様が逃げた場合は、殺してもいいですか?」

「もちろんです!」


「僕もケン様のことを殺してもいいですか?」

「もちろんです!」


「ケンのこと殺したいです!」

「もちろんです!」


もはや質問コーナーでもなんでもない気がする。普通に各々が個人的に俺のことを殺そうとしていないか? 

って言うか最初からずっと思っていたけど、なんでこいつらは俺に直接聞かないでアリシアに聞くんだ?


「僕も質問があります!」

よちよち歩きの金色の子竜が可愛らしく翼を掲げた。挙手ということなのだろう。


「ケン様は竜王様に挑むんですよね?」

「そうよ!」

と、アリシア。


「そんな竜王様に挑むケン様について質問があります。どうして太陽がお空に昇っている時はポカポカ暖かいんですか?」

「?」

アリシアの頭上には目で見えるくらい大きな?マークが見える。


「僕の質問に答えてください! どーしてお昼は夜よりも暖かいんですか?」

「その質問、ケンのことと関係あるかしら?」

大馬鹿アリシアも流石に困惑している。


「わからないです。でも僕、なんでお昼が暖かいかどうしても知りたいんですぅ」

きっとこの子竜は、まだ子供中の子供なんだろう。きっと生後数ヶ月とかそこらだろう。


子竜の不思議な質問に、場はなんだか和やかな雰囲気になった。


「悪いけど、ケン以外のことについては答えられないわ! ごめんなさいね。おうちに帰ってママに聞いてちょうだい」

すると、

「ひっく! グスっ! うぇええーん!」

子竜は泣き出してしまった。


「おい! ちゃんと答えてやれよ!」、「かわいそうだろ!」、「まだこんな子供じゃないか!」、「泣いているじゃないか!」、「そーだ! そーだ!」


野次馬どもが盛り上がる。アリシアはタジタジだ。天罰だ! 俺は内心、笑っていた。

「ええっ。どうしよう。私、ケンが竜王に挑む系の質問にしか答えられないの」

「うえええええん! グスっ! ひっく!」


「おい! ケン様! てめーいい加減にしろよ!」

と、モブ竜。ん? 今、俺に罵倒した?


「まだ子供なんだ! ケン様、質問に答えてやれよ!」

と、別のモブ。え? 俺に言っているの? ってかさっきの罵倒も俺に言っていたの?


「見損なったぞ! ケン!」、「ふざけるなよ! ケン!」、「殺すぞ! ケン!」、「質問に答えろよ! ケン!」、「ケン! ケン! ケン!」


次々に俺に対して怒りをあらわにする竜たち。

「早く答えなさいよ! ケン!」

と、アリシア。


「さっさと答えてやれ! ケン!」

と、アル。


「はあぁ? なんで俺ー? 今の流れでなんで俺になるの? 

ずっとアリシアが質疑応答に勝手に答えていたじゃないかっ? 

さっきまであんなにイキイキしていたのに! ふざけるなっ! 

都合が悪くなった時だけ俺に頼るな! 毎度毎度頭に来るんだよ! 

困ったらすぐに俺に頼ってばっかりじゃないか! 

俺だって頑張っているのに! 

だいたい太陽が地表を温める仕組みなんて俺にわかるわけ」



[八分後]

「以上が“太陽が地表を温める仕組み”の説明だ。わかったか?」

俺はこれでもかと言うほどわかりやすく、太陽の仕組みを解説した。


「わかりましたー! ケン様の話を、専門家の意見を交えつつ要約すると以下のようになります。

“太陽系の全質量の九十九パーセントを占める太陽”は目に見えない小さな粒、電磁波を惑星に向かって飛ばしています。

物質を温めるときには“熱伝導”、“対流”、“熱放射”の三つのうちどれかが使われます。

太陽が行うのは、熱放射です。これにより可視光線を地表に飛ばします。

この時地表では、半分ほどの熱エネルギーが反射され、それが惑星のガスや雲にぶつかってさらに地表を温めます。

これにより地表の温度は太陽によって温められているといえよう」


と、先ほどの子竜が言った。

うん。俺の説明をしっかりと理解してくれたみたいだな。

っていうかこういう流れ前にもあったような気がするな。まあいいか。




そして、質疑応答コーナーを終えて、俺たちは誘拐犯を探すために出発した。

「えっと。誘拐犯がいるのはどこだったっけ?」


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