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この小説は絶対に読まないでください 〜パワーワード〜  作者: 大和田大和
第四巻 竜の世界
139/260

ケンは竜たちのヒーローですね!


と、その時だった。


「おい! あれ例のケンって人間じゃないか!」、「本当だ、彼が竜王様に挑んでいった青年ね!」、「竜王様に挑むなんて命知らずな人だなー」、「ママ! あそこの人が竜王様に挑んだ“あのケン様”?」、「そうよ! あの人が竜王様に挑んだ“あのケン様”よ!」



俺はいつの間にか麓に降りていた。旅人が竜王に挑んだニュースは瞬く間に広がったのだろう。

たくさんの竜たちに囲まれてしまった。

こっそり逃げようと思っていたのに、いよいよ逃げ道がなくなってしまった。まずい!



アリシアが大きく息を吸い込んで、群衆に向かって、

「皆さんっ! 聞いてくださいっ!」


「「「「「なーんですかー?」」」」」

声を揃えて、興味津々の群衆。嫌な予感がする。


「ここにいるケンは、竜王に挑むことを誓います!」

「「「「「おおおおお!」」」」」

ざわめく群衆。やめてー(泣)


「ケンは、例え腕がもげても、足がもげても、目がもげても竜王に挑みまーす!」

「「「「「おおおおお!」」」」」

それ以上盛り上がらないでー(泣) って言うか、そんなになるまでやるの?


「ケンは、有言実行をする男です! ケンが竜王に挑むことを、この私アリシアが保証いたします!」

てめー。なに勝手なことしてくれてんだよ!

「「「「「おおおおお!」」」」」


「万が一、ケンが逃げるようなことになった場合には、私が切腹することにします! ケンはぜっっっったいに逃げません! 何か質問はありますか?」

質問コーナーまであるの? ってかこれなんなの? なんで竜たちは見ず知らずの女の話を熱心に聞いているの?



「はーい! 質問がありまーす!」

と、“絵で描かれた竜”が挙手をした。

「はい! そこのあなた!」

「さっきまでの会話は全部ボイスレコーダーで録音していました! これはケン様が竜王様に勝つまで勝負を挑む宣戦布告です。これをコピーして世界中に無料配布してもいいですか?」


やめろ! ばか! そんなことをしたら世界中に逃げ場がなくなるだろ!


「もっちろんですっ!」

と、アリシア。なんでこいつこんなイキイキしてんだ?



「はいっ! 質問がありますっ!」

と、“生きている画竜点睛”が挙手。


「はい! そこのあなた!」

「竜王様の戦闘力は、この国の全ての竜の合計よりはるかに強いです。

不老不死で不死身。最強で無敵。究極にして至高。原点にして頂点。

その竜王様に挑むと言うことでよろしいのですね? 

私の聞き間違いではないですね? 

言質とってもいいのですね? 

竜は約束事にうるさいのでもし嘘だったら地の果てまで追い詰めて、必ずケン様をバラバラに引き裂きますがよろしいのですね?」

やめろ! あほ! そんなことしていいわけねーだろ! ってかなんでこんな怖いことばっか考えるの?


「もっちろんですっ!」

と、アリシア。



「もう一度聞きます。もし嘘だった時は、ケン様の胴体から手足をもぎ取って食って、内臓を全部摘出し、肋骨肩甲骨背骨上腕骨尺骨胸骨を砕いて、身体中の血管を全部引きずり出し、肛門から大腸と小腸と直腸を取り出し、心臓肝臓腎臓肺を全部潰し、ひたいにデコピンをしてもいいでしょうか? それも生きたまま」


いや、手足もがれた時点で死ぬわ! ってかなんでそんなことすんの? 俺に恨みでもあんの?


「もっちろんですっ!」

と、アリシア。今、どっちに答えた? 竜のグロい質問? それとも俺の心の声?



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