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この小説は絶対に読まないでください 〜パワーワード〜  作者: 大和田大和
第四巻 竜の世界
128/260

対面


[ケン視点]

「さ! 着いたよ! じゃあ僕は少し離れて待っているからね!」

と、ドラゴンナイト。


俺たちが竜王の祭壇に着くと、そこには山と見間違うほど巨大な竜がいた。こちらに背を向けて座っている。


「うおおおおおおおお! あれが竜王か! 山っていうより一個の巨大な山脈が生きているみたいだ!」

竜王はいくつもの山が連なっているのではないかと思うくらい大きい。


「噂に聞いていたが、こんなに大きいとはな。翼を広げたら、ハイデルキアの半分くらいの面積があるんじゃないか?」

アルは顔面に“ガクガクブルブル”と書かれている。竜王がでかすぎてビビっているのだろう。


「うひゃああ! 竜王って大きいのね! 竜王はすごく大きいわ! 竜王は大きい! 大きすぎる! おっきいわ!」

小学生みたいな感想しか出てこないのか、お前は。


アリシアは小さな体躯を震わせている。きっと恐怖で身を震わせているのだろう。

「お前、さっき竜王を暗殺するとかほざいてたよな? チクってもいい?」

俺はアリシアに耳打ちした。


「ダメよ! そんなことしたらデコピンするわよ!」

そんだけ?



俺は天高くそびえる竜王に、

「あのー! 俺はハイデルキアの使いのケンと申しますー! お話があってきましたー!」

思いっきり声を張り上げて、叫んだ。これ届いたかな?


竜王は、ゆっくりとこちらを振り返った。

俺たちはその様子を見て、心の底から恐怖した。


「ひいいいいい!」

竜王の迫力は今までで味わったことがないほどイかれていた。まるで惑星と同じサイズの隕石が俺一人にめがけてまっすぐ突っ込んできているみたいだ。


超巨大な動体が俺の方を見る。竜王の瞳は、くすんだ茶色。全身の体表は、年季の入った鱗で覆われている。まさに竜王って感じだ。それ以上でも以下でもない。竜王としか形容できない。


俺たちは蛇に睨まれたカエルのようになった。俺はアリシアの方を見た。


アリシアは立ったまま腰を抜かしていた。アルは、体育座りになって地面のシミを数え始めた。


だめだこいつらはあてにならない。俺が竜王と話さないと!

「あのー! ハイデルキアとこの国の国交についてお話がありまーす!」

俺は震える声を張り上げた。これ聞こえているかな? 竜王からしたら虫けらが叫んでいるようにしか見えないだろうな。


竜王は俺たちを無視して、プイと反対側を向いた。俺たちなど眼中にないということなのだろうか?


「おい。いきなり無視されたぞ。交渉決裂ってことかな?」


すると、目の前にいる“生きた山脈”は、俺たちに背を向けたまま、

「竜王様ありがとうございます。では、これで」

と言った。


そして、“竜王だと思っていた”巨大な竜は翼を羽ばたかせて何処かへ飛んでいった。


「ん? あいつが竜王じゃなかったのか?」


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