我が孫ウレンケル・ブラックよ!
そして、ワイワイしながら竜王の祭壇に行く途中で、
「あれ? ウレン?」
ウレンケルと遭遇した。ウレンは人間の姿だった。そういえば、竜の世界に入ってから逸れていた! 完全に忘れていた!
「え? ケンたち! なんでドラゴンになっているの? っていうか、今までみんなどこに行っていたの? 私ずっと待っていたんだけど!」、「もう待ちくたびれたよ。我が孫、ウレンケル・ブラックよ」
ウレンは相変わらず、指人形を使って腹話術で会話する。(二つ目の「」内が指人形の台詞です)
「いや、遊んでなんかいないよ!」
俺は大嘘をついた。
「本当?」「本当かい? ケン坊」
ケン坊って俺のこと?
「ほんと! ほんと! 今ちょうど探しに行こうとしていたところだ! ところでなんで人間の姿なの?」
「わからないわ。なぜか変身できないのよ」「困ったねえ。我が孫ウレンケル・ブラックよ」
「そうなのか」
「私今回は役に立てそうにないから任せてもいいかしら?」「それがいい考えだよ。我が可愛い孫、ウレンケル・ブラック」
なんで毎回、指人形のばあちゃんは孫のことをフルで呼ぶんだ?
「わかった! 竜王とは俺たちが話をつける。だから先に帰って休んでいてくれ!」
「うん! そうさせてもらうわ!」、「クックック危ない危ない。危うく正体がバレるところだった」
「ん? 今何か言ったか?」
指人形の方が変なことを言ったような気がした。正体がどうとかって。
「いいえ! 気のせいよ!」
そして、ウレンと別れた俺たちは竜王の祭壇に向かった。




