生きているカード
その竜は一枚の紙のカードでできている。一番上の四角の中に『青眼の聖竜』と書いてある。きっとこの竜の名称なのだろう。
真ん中には竜の絵が描かれている。全身が光り輝く深い白色。汚れも曇りもない透き通るような透明感が目に刺さる。
芸術的でそれでいて漫画的。インパクトがあり、見る者の心を戦闘意欲で滾らせる。
子供の心を掴んで離さない前衛的なデザインをしている。
白い体の中で青い瞳だけが炎のように燃えている。美しくそして、力強い。
子供の頃にこのカードゲームで遊んだら、多分一生の思い出になるだろう。カードを見るたびに子供時代の楽しかった思い出が蘇るはずだ!
イラストの下には、パワーの数値が書かれている。数値は、『パワー三千』らしい。どらくらい強いのかはよくわからないが、とても強そうだ。
一番下の空欄にはフレーバーテキストのようなものが書かれている。
『最高の攻撃力を備えた竜。見るものの汚れを削り、淀みを溶かす。今、聖なる風が空を穿つ』
と書いてある。ものすごく中二な内容で、とてもいい。
俺は少年心を取り戻して、少し嬉しい気持ちになった。
カード竜は、空中を滑るようにして俺たちを横切っていった。
「あのカード知っているわ! あれすっごくレアカードなのよ! 確か世界に四枚しかないカード!」
「へえー。そのうちの一枚ってわけか」
「必殺技は、滅びの」
アリシアが言い切る前に、
パコーん。
俺が頭を叩いた。
「なんでぶつのよっ!」
「いや、なんとなく」




