表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この小説は絶対に読まないでください 〜パワーワード〜  作者: 大和田大和
第四巻 竜の世界
120/260

生きている文字


竜の国にはたくさんの竜がいた。まあ当然だな。でもその様子は予想とは少し違うものだった。

「なんなんだよ! この世界の竜はっ?」

ここまでくるともうお約束のような気がするが、変な竜ばっかりだった。


俺は街の中を見渡した。右にも左にも変態的な竜がたくさんいる。

「この世界では、いつもこんなんばっかだ」


「おい! あそこの竜を見てみろ! あの竜、文字だけで表現されているぞ!」

アルが翼で示した方向には、文字だけで表現されている竜がいた。



頭がある箇所には大きな字で『頭』と書いてある。普通の竜の頭に『頭』と書いてあるわけじゃない。『頭』という文字自体が竜の頭部になっている。


『頭』という文字には、『目』と『耳』という文字がそれぞれ目と耳があるはずの位置に書いてある。

そして、時折『目』という文字は『瞬き中』という文字に書き変わるのだ。瞬きをしているということなのだろう。

『口』は当然口があるべき場所に書いてある。


そして、『口』の隣には『(開)』または『(閉)』と注意書きがある。

口の状態を表しているのだろう。

翼がある場所には当然、『翼』という文字が描かれている。



「ちょっと私、触れ合ってくるね!」

と、おバカが動物園の“ふれあいコーナー”みたいな感覚で竜に近寄っていった。

「おい! 危ないぞ!」

「アリシア! 気をつけろ!」


「ヘーきよ!」

アリシアはそう言いながら、字竜の『喉』を手でさすってあげた。字竜は嬉しそうに喉をゴロゴロ鳴らし始めた。

気持ちいいのかあれ?


しばらくアリシアの触れ合いを堪能してから、『翼』をパタパタさせながら字竜はどこかへ飛んで行った。


飛んで行く際には、周囲に『風』という文字や、『砂埃』という文字がパラパラ溢れていった。飛んだことによって、風と砂埃が生じたということなのだろう。



「すげえな。生きている文字なんて初めて見たよ」

俺は初めてハイデルキアに入国したときを思い出した。“上下ジーパンを着ている人”や、“メガネを履いている人”を見て心底驚いていたた。だが、今じゃそれらをみても何も感じなくなった。


だけどこういう風に新しい世界に行くと、いつも新鮮な何かに心が奪われてしまう。


「ねえ! ちょっと! あれを見て! あの竜、トレーディングカードゲームの竜よ!」

アリシアが翼で指した方向には、生きているトレーディングカードの竜がいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ