竜の世界の街並み
俺たちは、数ある浮島の中でも最も大きいものに降り立った。そこには普通に街があり、人間とドラゴンが共存していた。
街は本当に不自然なほどごく普通の街だった。
通常通りで店があり、民家や家屋が立ち並んでいる。拍子抜けするくらい普通だ。
「ここが竜王の住んでいる街ドラゴンクリスタルパレスカントリーか?」
ドラゴンクリスタルパレスカントリーっぽいと思ったから勝手にそう呼ぶことにした。
「違うわ! ドラゴンプリズンキャッスルタウンよ!」
と、アリシア。こいつ壊滅的にネーミングセンスがねーな。どこかの遊園地みたいな名前だな。
「違う! ドラゴニックタワーガーデンだ」
と、アル。お前も破滅的なネーミングセンスだな。どこかのテーマパークかよ。
「おい! 張り合ってくるなよ! とりあえず竜王がどこにいるか街の人に聞いてみようぜ!」
その瞬間、ドシン。誰かにぶつかった。
「あいたー」
ぶつかったのは、ドラゴンではなく普通の女の子だった。年齢は四歳くらいだろうか? ピンクのワンピースが可愛らしい。
「あ! ごめんよ! お嬢ちゃん! 怪我してない?」
俺は口でチビちゃんを立たせてあげた。
「んーん。平気ー! お兄ちゃんよその国の人ー? あたちお兄ちゃんのこと初めて見るー」
「ああ。まあな。ほら飴玉やるよ」
俺は持っていた飴玉をチビちゃんにあげた(持っていたバックパックは変身後も装備していた)。そうだ! せっかくだしこの子に竜王の居場所を聞こう。
「わーいわーい」
チビちゃんは美味しそうに飴玉を頬張っている。無垢な女の子ってかわいいな。妹がいるのってこんな感じなのかな。
「なあ。竜王の城ってどっちだ?」
「あっちー」
チビちゃんは遠くに見える巨大な祭壇のような場所を指差した。浮島の中でも最も高い位置にあり、岸壁にはいくつもの水色のクリスタルが突き出ている。
「そっか! 教えてくれてありがとな!」
俺たちは竜王の元へと向かった。




