ナンパ師エヴァン参上!(後編)
ウェーバーはエヴァンの喉元に剣を突きつけて怖い顔。
「お前なんかあやしいんだよな、アリサやイリスに声かけやがって、このまま次のクリアネスで警備隊に突き出してもいいんだぞ?」
「えっ?これマジ?」
エヴァンはそれでもまだへらへら笑っている
「マジだ、俺は二人を守って、はやく一人前の冒険者になりたいからな。お前みたいなナンパ野郎は、まぁいい力試しだ」
ウェーバー……守ろうとしてくれるのは嬉しいけれど、それ勇者様の絵本の見過ぎだよ。
「まぁ、アリサちゃんやイリスちゃんが可愛いっていう意見は同じだよね、俺ら意外と気が合うんじゃない?……おっと!」
そういうとエヴァンはウェーバーが剣に力を込めるか込めないかのうちに笑ったままひょいっと身体を屈めて剣をくぐって、そのまま軽く飛び上がって、まるでウェーバーを挑発するみたいに剣の上に立って不敵に笑っている。
「どうもよろしくお願いします」
そしてそのままうやうやしくお辞儀をすると、ひょいっと軽く飛び降りて、わたしにウィンクを飛ばしてきた……うわぁ、キザ。
「まぁ……ロイヤルジェルまでは遠い、案内するというなら、そこまでなら頼もうか、だが、そこからどうするかは……」
渋い顔になるウェーバーにエヴァンは笑って言った
「怖い顔で睨まないでよ、ウェーバーくーん、仲間にしてくれるんでしょ?じゃあ固いっこと言いっこなし!ね、ね?」
間近で顔を覗かれて、ウェーバーはエヴァンから視線を外した
「アリサ、ひとまずこいつに案内してもらうか?」
「うーん、なんか軽いけれど……でもそれなりに戦うのに慣れているみたいだし、道案内ならいいんじゃない?」
「イリスは?」
「……わたしはみんながいいっていうならいいかな」
ウェーバーはため息をつき、剣を鞘に納めて言った。
「だ、そうだ、まぁ何だ、あんま二人に変なことしないってんなら、まぁいいぞ」
「ねぇ、ちなみに聞くけど、変な事って何?」
「な、な?」
ウェーバーは顔を真っ赤にして照れて、みんなはそれを見て笑った。
こうして盗賊のエヴァンが仲間になった。




