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毒電波 雨

作者: 十六瀬ヶ丘

 この町には古ぼけた雰囲気のお店がいくつかある。そのせいかこの町全体になんだかほこりっぽい匂いが舞っている。


 今日は雨がぽつぽつと降っていて、なんだか不思議な気持ちになっていた。昔から雨にはなんだかしんみりするというか、なにか感じるものがあった。そのせいかなんとなく違う道で帰ってみることにした。ここでそのまま帰っていればああいう気持ちの悪い体験をせずに済んだのかもしれない。


 普段とは違ってコンクリートではなく石畳みたいなもので舗装されてる道路だった。雨のにおいがすごくて頭が少しおかしくなっていったかもしれない。脇に落ちていた小石を一つ拾ってなめてみる。土の味と雨でしめった匂い、少しの砂利が口の中に入った。急に人を殺したくなって商店街まで走る。なんだか気持ち悪くなってくる。急に冷静になって自分がしていることの異常さに気付いた。そもそもなんで傘を持っていないのだろうか。予報で雨になることはわかっていた。自分の名前もわからないし、家の場所も分からない。自分が歩いているのは道ではないし、小石は雨だ。


 そうして私は家に帰った。もう死んでいることはないし、生きていることもないから雨に安心させられることができる。

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