6話 私も契約したら強くなりました。
真宵視点に戻ります。
やっとバトルシーンです。
クロンから急遽、契約の話が出てびっくりしたけど、私はもちろん受けた。
彼には何か考えがあるのだろう、そう信じて契約を行った。
「『契約は満たされた』!行くぞマヨイ!」
そう言うとクロンの体は、黒い霧みたいになって私を取り囲んだ。
そういえば痛いんだっけ?耐えられるかなぁ。
そうこう考えているうちに霧は私の体に吸い込まれていった。
―ドクンッ!
心臓がかなり強く拍動した。
あぁこんな感じね…。厨二設定だとよくあるけど本当にあるんだコレ…。
その瞬間、私の体を中心に黒い風が強く吹き荒れた。
身体が軋むようだ、体の中を押し広げられているような感覚だでも思ったよりかは痛くない。
クロンが大丈夫だ安心しろと言ってるような気がした。
10秒くらい経っただろうか、黒い風が止んで私はアカオニの前に姿を見せた。
背中には翼が有り、羽根がびっしりと並んだような黒く美しいゴシックドレス姿だった。手には同じく黒色の鉄扇を一対持っていた。
もちろん怪我はおろか血一滴すら見当たらない。クロンの目論見通り、いやそれ以上だった。
「くそっ!俺としたことが契約させてしまったじゃねえか!…なんだよその恰好は…あいつの力か!?」
――目の前に立っているこの鬼は、クロンを傷つけるだけでなく、殺そうとしている。
「…許さない、絶対に、」
「まあ良い、憂さ晴らしだ、おい女!大好きなクソカラスと一緒にくたばりな……!?」
私の静かな殺気を感じ取ったのか、戦闘態勢に入るアカオニ
「遅いなぁ」
私は翼を広げトップスピードで急接近し、アカオニの腹部を切りつけた。
世界がスローに見える。相手の動きが手に取るようによく見える。
でもさすが悪魔だね頑丈だ、皮一枚しか切れてないや
「お前…、本当にあの人間なのか?」
いくら契約をしたとはいえ 人間としてあまりに強すぎる
何故、さっきまで無かったはずの魔力回路をここまで、悪魔と同レベルまで使えるんだ。
何せよ動きを止めて、頭さえつぶせば片付くはずだ。
さしずめ、そんなことを考えていたのだろう、
私の周りに炎の渦を作り出し、動かせない作戦に出たようだ。
炎の壁は迫ってこない、ということは、目的は焼くことではなく足止め、
瞬間、炎が消えた。真正面に炎の纏った棍棒を振り下ろしているアカオニ。
やはり動きは遅い、
2本の鉄扇で受け止め、手に熱が伝わる前にそのまま真横にいなした。
なるほど、武器に魔力を纏わせられるんだ。やってみよう、そして――
「はぁ、早く終わらせよう…。」
「終わらせるだと…?終わるのは、手前ぇの方だぁあああああ!!」
私のその一言を聞いたアカオニは、何かがカンに触れたのか怒り狂い、こちらに突っ込んできた。
なんだ格好の標的じゃん。
魔力を武器に…。あ、出来た。簡単じゃん。
鉄扇を開き構える。
「“黒鷹風刃”…!」
風を起こすと同時に黒い斬撃がアカオニを襲った。我ながら厨二なネーミングだ、黒歴史は確定かな。
全身は見るも無残に刻まれ、そのまま消滅していった。
これで終わったよ、クロン。
―――――――
すると私は元の姿に戻った。
さっきまでの威勢がさっぱり消えていった。
何アレ何なの!?
めっちゃ恥ずかしい事平気で言ってた!
私が恥ずかしさに悶えていると何処からともなくクロンの声が聞こえた。
「魔力回路が開いたからだな。粗暴になったり、気が大きくなったりするらしいぞ。」
クロンの声はどこから…ん?
私の右手には身に覚えのないブレスレットがつけられていた。
っていうかココから声がするんですが!?
「それよりも、急いだほうがいいかもしれない。アカオニを倒したとなれば、強さの誇示のために、そこらのゴロツキ連中がいつ襲ってくるか分からない。面倒だから早いところ街にでも入ろう。」
そんなこんなで私とクロン、人間と悪魔のおかしな旅が始まるのでした。
続きますよ!?
バトルの短さがボキャブラリーの無さを物語っている気がします。