1話 穴に落ちたら魔界でした。
初投稿です。
頑張って更新していきます。
「あれ…?なにこの穴?」
大学の近くの大きめの森林公園で見つけた不思議な穴
まさかたった一つの穴が私の運命を全く明後日の方向に捻じ曲げてしまう事になるとは、
この時の私は思いもしなかった―――――。
私の名前は、樹 真宵。この春から大学に通いだした18歳。
趣味は読書、友達作りに失敗して絶賛ぼっち…。
公園の奥地に一本そびえたつイチョウの大樹、
もう一体いつからここにあるのか分からないほど太く、そして大きい
話によると、まだ大きく成長している様だ。
そして、この木の後ろ側の根元、この特等席で私はいつも読書をしている。
有名文学や文庫小説みたいな本が多いけど、今はまっているのは北欧神話。
静かで心地のいいこの場所で本を読んでる時間が一番幸せだ。
でも今日は違った。
ここには講義の無い空き時間は毎回ここに通っている、
そんないつもの特等席にぽっかりと空いた、大きな穴。
「おかしいなぁ、今朝までこんな穴なかったよね?」
そう感じるのも仕方がない、何故なら穴があるのは正確には
地面じゃなく幹なのだから。
ほんの数時間で出来るようなものじゃない、
しかも木の内部とは思えないほど暗い、なんて言うか黒い。
嫌な感じがするし、なんだか気味が悪い、
とにかく、今日はここでの読書はやめておこう、
「あーあ、私の特等席が変なことになっちゃっ…あっ、」
少しふてくされながら踵を返したその瞬間。
何者かに引っ張られた様に否、引っ張られて穴へ転落した。
一瞬のうちにたくさん考えた。
一体誰がこんな事を、後で文句の一つでもつけないと気が済まない。これ落ちたら痛いんだろうな。穴が深くて出られなければいざとなったらスマホで助けを呼べばなんとかなるか。もしかしてこれって走馬灯??
――甘かった。
「……………これ全っ然下に着かないんだけど!!」
実はかれこれ5分は落ちている。
肝心のスマホは使えず、真っ暗で何も見えない何も聞こえない。
これは落ちたらペチャンコだな…
そんなことを考えていると、急に地面に落ちた。
「痛っ!ってあれ?あんまり痛くない…?っていうかココどこ!?」
放り出されたのは不気味に明るい荒野だった。
「何ここ、あー夢かなコレはうん。よし思い切りやっちゃえ!!」
ほっぺた痛い…。現実なんだ…。
まわりに来たであろう穴は見当たらなかった。
とりあえずここにいたら不味いと私の勘が言っているから離れることに。
太陽もないのにやけに明るい、よく見ると空が赤っぽい。なのに人っ子一人居ない。
本当にここはどこなんだ?でも何だか冒険みたいで楽しいじゃん。ワクワクしてきた。
そんなことを考えて楽しく歩けるのも束の間、まだ500メートルも歩いていないはずなのに息切れが起こってきた。
一応言うが、読書が趣味だからって引きこもりな訳ではなく、むしろ適度なスポーツは嗜む方だ。
動悸が激しい、頭が痛い、マラソン大会の後こんな感じだったかな…?
あっダメだ、意識も朦朧としてきた、もう動けない…。
――そこで意識が途絶えてしまった。