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無我夢中に膝が笑う程走り通し、気付けば町外れにぽつんと離れて作られた農家にまでたどり着いていた。
少し前にここで暮らしていた老人が亡くなり、野放図に荒れた畑の畔へユイナと共にへたり込む。
半ばからユイナと手を繋いで走った為、2人の足には細かな傷が無数に出来ていた。
2人はゼイゼイと苦しい息を吐きながら、走り過ぎて震える膝を何とか折り曲げ、土の上に体を投げ出した。
乾いた土が埃をあげる
寒さに強い草がちょぼちょぼと生える畔
見上げた空には無数の光が散っていた
日が登るにはまだ少し時間が早い様だ。
東の空の淵が薄ら明るんできている。
息が落ち着くと、アルは萎えた脚を叱咤してグッタリと横たわるユイナを抱え、農家の脇の納戸へ入る。
思った通り、農具や藁が片付けられずに積み上がっていた。
浮浪者といえるヤタへ施しを行う者は余りおらず、施療院が寄付を募って子時の保護や炊き出しを行っている。