それなら僕らに声はいらない
僕が小学生だったころ。きっとこんなことはなかったんだ。
それは進化した証拠なんだろうし、良いことではあるんだろうね。
例えるなら・・・ コンビニおにぎりの包みとか。飲み物の、容器とか。 食べ終わったあとの、割り箸なんか。
使い終わると、捨てられてしまう。いらないとはいえないもの。でも常に必要ではないもの。
進化したことで、必要性が失われたもの。薄まったと、僕は考えたいんだけど。確かに、良いこと悪いことどちらも産み出すけれど。それが、人間だと思うんだ。
「ねぇねぇ、これってどうやるんだっけ?」
「そんなのネットで調べれば?」
きっと、何気ない一言。それでも心が苦しくなるのは、僕が弱いせいなのかな?
『友達』
そんな一言を打ちこめば、こいつは沢山の提案をしてくれる。的確なもの、検討違いなもの。様々な選択肢、選び放題。
これがあれば、友達はいらない? 他人と関わる必要はない? 画面に写る誰かと、文字を並べて交流して、友達は何千人。
「・・・それなら、僕らに声はいらない」
何かを見る瞳と、文字を打ち込む指。それから電力。それだけあれば、問題ない。 ・・・とても悲しいことだね。
いずれ、本当にそうなるのかもしれないね。
一人、空を見上げてバスを待つ。
不意に隣の学生を見る。二人組、黒い手袋が参考書を握っている。
「だから、違うって!」
「えー、なんで!あってるだろ!」
なんでかな。少し安心して・・・ 羨ましくて少し泣けた。