プロローグ2
神は僕の顔を覗き込み、せまる。
「そんなことは…、そんなことは…。」
雲の隙間から見えるあの世界。病が無ければもっと時代の流れを見れたはず。
腕組みをし、悩む僕を神はニコニコと笑う。 くっ、神め!
だが、僕の口は素直に答えた。
「いえ、行きたいです!行かせてください!もっとあの世界を知りたい!…それに…」
「それに?」
「待つ者をずっと待たせては悪いからな…。」
目を細め、雲の下を覗く僕に神はいう。
「うむ。わかった。しかし、」
神も雲の下を覗く。
「欠点としてはお前の今の記憶が無くなり、あの世界の人間の人格といれかわる。それでもいいか?」
記憶が無くなる?あいつのことも?あの忙しくてでも楽しかった日々も?
しばらく考えるてもやはり考えは変わらなかった。
「はい、行きます!」
神はゆっくりと頷き、手を僕の方に向けたかと思うと僕の体は足先からスウーっと透けていき、消えていく。
最後に神から聞いた言葉は
「××よ、あの世界はお前を優しく受け入れてくれるだろう。」
ああ、さよなら、過去よ。僕は初めて生まれ変わる。
そして、僕の体は消えていった。
(良かったな。幸代。お前に幸せが来るよう願っておるぞ。)