5.やっぱり凄かったです
翌日
「フンフーン♪フン♪フンフフーン♪」
結局行くことにした私はダンジョンのための準備をしている。ロープに携帯食料、昨日徹夜して初めて作ったポーション(材料の薬草はお母さんが趣味で作ってるプランターから拝借)などなど上機嫌にバッグに詰め込む。
なんたってダンジョンに行くのだ。これくらいの準備は必要だろう。バッグがぱんぱんになってるように見えるのは多分気のせいだ…うん、気のせいだ。
それにしても楽しみだなー。魔道書とか魔道書とか魔道書とか特に魔道書!ふふふふ どんなのがあるんだろう。沢山あるといいなぁ………
「おーいアリアー ちょっと早いけど出かけるぞー」
ちくしょう、お父さんコノヤロウ。私の妄想を邪魔しやがって。
「はいはーい」
とりあえず返事をし、バッグを背負い玄関に出る。
そこには黒いローブと紅色の鎧に身を包み、身長とほとんど変わらない長さの鎌を持っただお父さんがいた。しかも普通の赤じゃなくて血の色に近いような赤でいつもより怖く感じる…。
しかし、どうやってその鎌扱うんだろう。ちょっと触ってみたいかも。
私の視線に気付いたのか、お父さんは鎌を貸してくれた。
よいしょ………っ!?ナニコレこんなの振りまわせる重さじゃないよ!?持つだけで精一杯。私には振り上げることすらできなかった。どうなってんだよ父さんの筋肉………。
「ちょっと準備するからそれ持ってついて来て」
お父さんはそう言って前を歩き出した。私は仕方なくその後ろを右へヨロヨロ左へヨロヨロと頼りなくついていく。
家の裏にある石造りの小屋の前で足を止め、首から下げていた鍵を使いその扉を開ける。何か取り出すのかな?なんて思っていたら、とんでもない一言を発した。
「着いたぞ」
………え?ツイタゾ?ダンジョンに?エェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!?
「ここがダンジョン?ただの小屋じゃないの?」
とりあえず聞いてみる。
「ん?あぁ、厳密に言えば入り口だけどな。ほら、いくつも魔法陣が書いてあるだろう?」
本当にダンジョンらしい。お父さんに言われて小屋の中を見渡す。下に続く階段があり、壁一面には魔法陣と呼ばれるものが隙間なく書かれている。
「このダンジョンはお父さんとお母さんが見つけてな。階が多すぎる上に出てくる魔物が強力で国から管理を任されたんだ。」
へー。っておい!?そんな危険な所に幼い私を連れて行く気かっ!?まぁいいけどさ魔道書さえあれば。そして1つ疑問に思ったことを聞いてみる。
「お父さんとお母さんってそんなにすごい人なの?」
国に任されるのだ。ただの近衛騎士ではないのだろう。そしてあの焦がし魔じn…お母さんも。
「俺そこまですごいってほどではない。せいぜいお前が生まれる前に起きた魔族との戦争で死神と呼ばれたことがあるくらいだ。でもお母さんはすごいぞ。国1番の魔法使いだからな」
ナニソレスゴイ………凄すぎで逆に訳がわからんぞ……。
ダンジョンの入り口で、ダンジョンにではなく親の凄さに驚かされた。
じ、次回こそはダンジョンを……っ!!