憂い世の奏花梨。
「。」シリーズの第二作目。
タイトル上の「。」シリーズから他の作品が読めます。
想定中範囲内存外「知らん」で衝き通す劣情。
操作不可能のハンドルはもう既に時遅し、使い物に為らない。
列奏冴えず、嘆く事も失せる閑静。
ビーコンも消え失せ儚いリジェクト音が耳を揺らす。
たった18ビットの画面。
「あぁ、死ぬのか」
重苦しい詞は劣悪聡明、変わらず期せず。
小さく拓いた碓氷から見える朧月夜は青銅を孕む。
遠く遠く剥がれた未知の虚憂は月面への道筋を指す様にも見えた。
ざっ、ざっ、ざっ。
しゅー。しゅー。しゅー。
次世代の焦燥は見えず絶えず消えず失せず解せず利せず数千パーセントの藻屑となる。
粒状の埃を払いのけ、四方へ散る。
世界を抱えた真っ赤なフラッグ。
背を振り向き、その小さな氷窓から見える真っ青な一つの円形は異常に美しい。
まるで、自分が別の世界に居るみたいに。
羅針盤はとうに止まり、元より無い退路は消えた。
地を這うクレーターは憧憬落とす、影落とす。
未開拓の騒然当知は迂回する虚言と思考。
思考停止施行停止試行中止指向は先へ。
どうせ終わる命なら、王の御膳を全うして朽ち果てる。
「生きる事も急いては回れ…………か」
這いずる思いで淘汰した親善連衡、その足は宙を浮く。
制御不能先天性リンカーネーション。
小低到底この身は死ぬ身。
だが、汗は離れず、ましてや湧いて出てくるばかり。
違う。
反酩酊の憔悴を右手伸ばして空虚へ消える。
「ほんとは死にたくない」
違うんだ、死にたくないんだ。
小径太陽系は黄道咽び光線が遮る。
黒の闇に吸い込まれる様に、白い土から離れていく。
ふわりふわり。
月世を囲む無数の紫煙は劣等暮れる。
背中の酸素は赤メモリ。
安定気圧値は最早ミステイク。
どうせ、死ぬ運命だった。
王の命なら、この小さき命など惜しくも無い。
こんな時に思い出すのは、生前不全の流れる記憶。
話術好景重ねた彼女。
最もゆっくり流れてた時の会瀬。
萬を越えて呑み込んだ生唾は、意とも狂う。
だが。
月底たる地面が離れる数十メートル、その地が拓き、旗を振る灰ネズミの地底の民。
追える定数に伸ばす左手。
待って。
その手は、空虚を掴む。
ハイドチューブがから巻く包む、左手に微かな失せた感覚。
拓く地底。
騒然の劣同。
終生する命も絶えず失せず。
真っ赤なフラッグは握られた。
出迎えるのは焦燥の先、前哨の遊泳太陰系。
見える街は電工魅せぶ裂傷の里。
仕損じる光景、笑う半眼の宇宙人は石灰の愁い。
消え逝く酩酊は、いつしか論点理を編む。
そして再び、地を掴む。