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空想物語  作者: さきら響
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1話

ベッドの枕元で、スマホが時刻を告げる。

うるさくなって途中で止め、二度寝の態勢に入る。


「奏、起きてらっしゃい、遅刻するわよー」


母が呼んだような気もするのだが、聞こえなかったフリをする。というか、起きられない。

すると、誰かが部屋のドアを開ける音がした。


「奏様、起きてくださいませ。学校に遅刻なさいますよ?」


メイドの希望が起こしに来た。それでも奏は微動だにしなかった。


かくなる上は。


希望は意を決したように一呼吸ついた。


「奏様、慧様がお迎えに来ていらっしゃいます」


途端にガバッと身を起こし、スマホの画面を見て悲鳴を上げた。


「キャー!?嘘!もうこんな時間!?」


奏とのこの会話は日常茶飯事だ。

寝起きが悪い奏は、慧が迎えに来ていると告げれば起きる。


「奥様もお呼びになられたんですよ?」

「うーん、聞こえたような聞こえなかったような…」

「とりあえず、早くしないと本当に遅刻なさいますよ?」


やば、とベッドから下りると、せっせと身支度を始める。

いつも遅刻ギリギリの奏は早着替えはお手の物だ。


「よし、できた!のぞ、車出して!」

「こんなにバタバタしないように起きればよろしいのに…。分かりました、すぐに準備させます」


希望はお辞儀をして部屋を出ていった。

奏も部屋を出ていこうとしたが、忘れ物に気付き、自分の机に戻る。

小さな青い箱を開ける。

箱はリングボックスで、シンプルな指輪が入っている。それをくれた人は、きっと今日も学校で待ってくれているはずだ。

あの人も左の薬指につけて。


「奏様、お車の用意ができました」


希望が呼ぶ声が聞こえ、左の薬指に指輪をつけた。

「今行くー!」


奏はパタパタと部屋を出た。

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