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800字の短編世界  作者: 沙猫対流
2015~2016年
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6/11

星空

死んだら人はどうなると思いますか?

お星様になるのか、地獄の業火で焼かれるのか。人魂を従えて化けて出るなんてのも、面白いでしょう。

お盆シーズンにぴったりの(怖くはない)話で、そんな事に思いを馳せてみては如何でしょうか。

 死んだら人はどこへ行くの?

 お空へ昇ってお星様になるんだよ。


 祖父のお通夜の日、父と交わした会話だ。あの時見た空に、満点の星が散りばめられていた事を覚えている。明日祖父もあの中の一つになるのだと。今までに人が大勢死んだものだと子供心に思ったものだった。



 ピピピピ……携帯のアラームが鳴って、目が覚めた。たった十五分仮眠をとっただけで、随分鮮明な夢を見たものだ。


 今、自分は車で実家を目指している。運転に疲れて、車と体を休ませようと、今はサービスエリアで休憩をしていた。


 ドアを開けて外を見ると、すっかり暗くなっていた。夢でみた通夜の星空はそこには無い。工場の煙が空を曇らせているばかりだ。


 駐車場の彼方で何やら光っている。端っこまで歩き、真っ暗闇に呑まれぬように気をつけて、ガードレールの向こうを見た。



 壮観だった。白や、黄色みを帯びた光の粒が、果てしなく濃い闇に幾つもラインや星座を浮かべている。まるでビーズ細工だ。勿論あの日の星空には及ばないが、心は安らぐ。


(そこに人がいなければ見えないのか)


 つい数週間前、プレゼン資料作りが難航し、残業していた自分を思い出し、苦笑する。



ここでもまた、夜の宝石達は人民の下に作られる。ただ人が死ぬかどうかの差だ。


何故そこで明かりをつけているのか。夜勤中の人もいるだろう、趣味の時間に寛ぐ人も、愛する異性と過ごす人もいるだろう。


死んだら人はお星様になると聞いたが、あれは嘘に違いない。何故って、そこに誰かが明かりを持っていれば、夜の闇には小さな星が一つ瞬くのだから。

 気付かないだけで、この大地は何十億という、命の星で溢れている。



自分はその場を離れた。そろそろサービスエリアに入ろう。眠気覚ましのガムと、一番安い双眼鏡を買いに。また後でこの星空を見るときの為に。


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