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プロローグ
「きひひ、今日は誰が死ぬのかなァ……。ねえ、マモン」
光の射さない暗闇に覆われた部屋で、一人の少女は首を傾げた。
歪んだ狂気に濡れた紅い瞳の先に向けられてるのは、あらゆる所に綿を抉られ糸を雑に縫われた人形だった。"マモン"と呼ばれた人形は少女に抱かれた腕の中で、少女の投げ掛けに応えるように閉ざされた赤い口を開いた。
「イッパイ死ンデクレルナラ、私ハ誰ダッテイイケドネ」
キャハハハハ。
マモンのその反応をみて、少女は口元の両端を吊り上げ微笑んだ。
「そうだよねぇ。いっぱい、いっぱい殺さなきゃねぇ」
二人の不気味な笑い声が、部屋一面中に響き渡った。