第2話 <星へ>
ついに転移します
― それが長い長い旅の始まりの合図だとはその時の俺は全くもって思っていなかったんだ。
「差出人はなし…《トイレに入り、ペーパーで鶴を三匹折り、三匹一緒に流せ》だと…?」
ばかばかしい。誰がこんな悪戯を
どうせ近所のガキンチョが…
いや、まてよ。
今日の空模様といい、そもそも手紙が入っていることさえ珍しいのにしかもこの意味不明な内容って。
―――もしかして主人公フラグじゃないのか?
深く考えると虚しくなるのだが、俺は成績優秀でそれなりに顔もイケてると思っている。
だが今までそんなに目立つようなことはなかった。それはなぜか。
「俺が…逃げてきたから…」
学級委員、掃除担当、授業中に目立つからと言って挙手からも逃げてきた俺には少しの罪悪感がある。
なぜここで、こんなにも思うことがあるのかは俺にもわからない。
ただ、何か使命感に追われているような気がした。
それもこの手紙のせいなのだろうか。
「やってみるか」
嫌な予感がしないでもないがこのままやらなかったら後悔する。そんな気がした。
また逃げたんだ。と思うのが嫌だった。
ドアを開け、トイレに駆けこむ。
鶴の折り方は覚えている。問題ない。
少々形が変だがもんだいないだろう。
あっという間に3羽を折り、便器に投げ入れる。
あとは流すだけ。落ち着け、自分。
「っよし。いくぞ…!」
ジャボボボボボボぼぼぼ…ググググウ
レバーを傾けると同時に視界がボヤけていくのがわかった。
嫌な予感が的中する。なんでこうなるッ。
「うッ…なんでッ…!?」
酷い眩暈で立っていられなくなる。
やばい、俺死ぬかも。
死にたくない。トイレで死ぬなんて嫌だ。
なんでこんなこと…
「俺まだやるべきこと…が…あおhfyこぼjこkk。mぬlkhcじょうjjk
ppじじmhb、fb5ヴぉヴぃbにkんtったtsskt…
kkぅg…ftd5うびkyn…あ…r…。」
…
どれくらいの時間が経っただろうか。
思考回路が遮断されている。何も考えられない。
ここはきっと天国なんだ。なんて居心地がいいんだろう。
…じゃあ俺は死んだのか? どうやって?
何も覚えてない。俺はどうやってここまで来たのだろうか。
「たしかトイレで鶴を…」
…
『ねえッ!!!!』
「っはい!?」
突然聞こえた声に我に返る。
俺はみたことのない部屋のベッドにいた。
「なんだこの部屋…誰の家だ」
頭が動く。よかった、死んでない!
この部屋、
天井には大きなシャンデリアによくわからない壺、家具にはレースがたくさんついていて
いかにも 女の子です♡ といわんばかりの部屋だ。この娘の部屋なのか?
『おはようございます♪』
目の前には長くてふわふわ(そうな)髪の女がいる。
服はだぼっとしていて下は膝くらいまでのスカート、
左目の下にはシールだろうか、星マークが3つ並んでいる。
肌が白くて足は長い。かわいい。
危険人物ではない、脳がそう言ってくる。
「あの」
『はい?』
「ここどこですかあと、あんた誰。」
『えっと、ここは…』
一呼吸おいてから彼女はとんでもないことを言い放った。
『宇宙一個性的な星、ラファネール星です。そして私は天野蛍』
はあ!?
星…つったかこの女。
しかも宇宙一個性的ってどんなんだよ。
『よろしくお願いしますね♪ 望月希さん♪』
信じられない…
しかもなんで俺の名前を…プライバシーだろ…。
「ここ…地球じゃないんですか」
『まあ、似たようなところですけどね。地球さんの構造は参考にさせていただいています。』
……個性の意味知ってんのか?
読んでいただきありがとうございます。
まだまだですよ、まだただの学園生活です。次話くらいまで




