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最強のカード  作者: 穏世青藍


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2/3

CMのお話

 私がお遊戯会や学芸会とかの役について考える様になったのは、ある一つのCMがきっかけだった。

 カネボウさん(クラシエさん?ごめんなさい…。)から出ている、確か、ナイーブという商品のボディーソープのCMだった。

 お遊戯会か学芸会で、小さな男の子が、舞台で一生懸命に、昆布かワカメか海藻の役を、体全体を使って表現していた。

 汗だくになって。

 それを観客席から見ているお父さんの心の叫びが、愛情に溢れている的確な言葉だった。

 ゛いいぞ!!!その汗!!!゛

 とても心温まるCMだった。

 昔のCMだけれども、今でもよく覚えている。

 主役はそうそうなれるものじゃないけれども、脇役なら回って来る事もあるかもしれない。

 確かに主役は魅力的だ。

 そして、誰からも一目置かれたり、認められたりするだろう。

 でも、実は、脇役も魅力的だ。

 何故なら、脇役に誰かがなった途端に、その役はその人の主役になる。

 そして、その人がその役の主役となるという事は、その作品の主役は脇役だ。

 だから、昆布かワカメか海藻役の男の子は、主役だった。

 彼の世界では主役だった。

 そして彼の家族の世界の中でも、主役だった。

 愛で溢れている暖かい場所にいる主役だった。

 あともう一人、この考え方に影響を与えた人がいる。

 高校の英語の先生が、卒業アルバムにメッセージを書いてくれた。

 詳しくは忘れちゃったけれども、自分の人生の主役は自分、だと書いてあった。

 とても、心にしみる言葉だった。

 私は、その言葉を、頭がふわふわした状態で受け止め、今迄、大体、忘れる事は無かった。

 学校の先生の言葉って、大切ね。

 私は柿の木の役だったから、私の外の世界の作品では主役は蟹だったけれども、私の中の世界では主役は柿の木だった。

 一言言って終わる、渋い渋い役だった。

 私の柿の木の一生は、即に終わった。

 残ったのは、それをやり遂げた事実で、それが私の手元に残る最強のカードだった。

 何て切ない役なの。

 でも、当時の私は、それで満足していた。

 そんな私を、今の私は振り返って、頑張ったねって言って、頭を撫でてあげたいと思っているの。

 何て、可愛いの。

 何て、素敵なの。

 自分で自分を褒めてしまう。

 貴方もやってみていいと思う。

 貴方の心の底が、穏やかになると思うの。


 きっと、このエッセイを読んでくれている方々も、様々な場面で脇役だったかもしれない。

 でも、当時は悲しかった方もいるかもしれないけれども、大人になってから、そのほろ苦い味を、良かったと分かる時が来る筈。

 だから、自分の人生において、与えられた役を頑張ればいいと思うの。

 これは、実生活にも当てはまる事だと思うの。

 悪いことじゃなければ、与えられた役を頑張ればいいと思うの。

 選べなかったお仕事とかでもね。

 でも、限度があるけれど。

 それは周りの色々な大人の意見を聞きながら、考えていかなければいけないかも。

 勿論、興味のある役が出来たのならば、それでもいいと思うの。

 最後まで出来なくても、与えられた役を頑張れば、きっと、貴方の最強のカードになる。

 サントリーさんの、商品名がなっちゃん、というジュースのCMで、お父さんとお母さんが、なっちゃんに、将来なにになりたいのかを聞いていた。

 なっちゃんは、確か、どんぐり、と答えた。

 私は笑った。

 子供は素直だ。

 なりたいものは幅広い。

 このなりたいものの幅広さは、その人の最強のカードを作る事になる。

 お父さんとお母さんはなっちゃんに、戸惑いながらも否定的な言葉は言わなかった。

 子供の心を汲んで、大切に育てている様に思えた。

 最強のカードは、周りの人の優しさで作り上げられていくのかなぁ。

 勿論、本人が最後には作り上げなければいけない。

 きっと、それは、楽しい世界もあるだろう。


 日本のCMは、面白いものが多いと思う。

 かと言って、海外のCMを見た事がない。

 ストーリー性のあるCMに私は魅入ってしまう。

 やっぱり、記憶に残りやすいかも。

 富士フイルムさんのお正月を写そう、という昔のCMに、樹木希林さんと岸本加世子さんが出演していた。

 樹木希林さんがお客さんで、岸本加世子さんが店員さんで、お正月の写真付き年賀はがきの印刷をお願いしていた。

 「美しい人はより美しく、そうでない人はそれなりに」

 と、確か言っていた。

 余りにもシュールで面白かったから、このCMに魅入ってしまった。

 樹木希林さんは主役だったけれども、美しい人の役では無かったみたい。

 …というか、確かに、主役は美しいとは限らないが、折角の主役ならば、美しい人の役になりたいという興味が無い人はいないだろう。

 味のある役だった。

 樹木希林さんにしか出せない、あの独特の雰囲気と間が、つぼにはまった。

 樹木希林さんは、最強のカードを沢山持っている様だった。

 最強のカードを沢山持つている人って、何て素敵なんだろう。

 最強のカードを持っている人は、愛されているのかも。

 美人になる事は難しいけれども、誰かから愛される人になる事は、努力すれば出来るかも。

 それには、内面を磨かなくっちゃいけないから、長期スパンで考える事が必要だなぁ。

 私も樹木希林さんみたいな素敵で独特な雰囲気や間を持ちたいな。

 私なりの私の素敵で独特な雰囲気や間を持ちたいな。

 そして、いつか大切な人達に、愛されたいな。

 最強のカードは、各々が愛される事をもたらしてくれる可能性を秘めているみたい。

 私なりの最強のカードって、何になるのかとっても楽しみだなぁ。

 

 ここまでお読みいただき有難うございました。

 もしよろしければ、次回作もお読みいただけると嬉しいです。

 

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