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例えばこんな異世界設定  作者: 宮城 英詞


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何故貧乏貴族が生まれるのか?

 お金の話続き。

 ちょっとデータベースの話が多くなったので、なろう世界の金銭感覚ってどんなもんか?

 という話。


 まず、あれこれ調べていて思うのは、洋の東西に関わらず。お金をやり取りする事自体、なんか卑しい事。という概念がどうにも根強かったという事。

 そして、社会的に阻害されがちな人に限って、商才に溢れた人が出やすいという所。



 まず持って、宗教的事情。

 慎ましやかに日々を過ごし。富は教会に寄付するのが美徳とされていたり、富は気前よく分配する事が美徳とされていたので、それが極端化して貯蓄は悪と見なされていた風があること。

 これはプロテスタントという経済的成功を肯定する宗派ができると商人たちに支持された事が、それまでどれだけ商売を歪めていたかをものがっています。


 また、物々交換が主流の世の中で、資産運用で儲けるという、ぱっと見生産性のない行動に対する嫉みもあったでしょう。


 加えて、定住できないユダヤ人などの迫害された人々が生き残るために商人として成功していったことも、イメージ悪化に繋がったと思われます。


 ナーロッパではどうでしょう?


 やはり神官、宗教関係者は、病的なまでに質素で、貯蓄を行わず。寄付や分配に心を配る可能性が高いですね。商売の駆け引きできないのでコロリと騙されててしまうレベルです。

 逆にそんな人が偉くなると、投資の概念なんかありゃしないので、わけわからん事にお金を消費しまくり、それこそ寄付のために賄賂まみれになっている可能性があります。

 免罪符の例でもあるように大体神の名の下に正当化できてしまいます。


 商人はその逆。

 お金のやり取りの感覚はかなりしっかりしていたと思われます。

 ただ、ナーロッパ世界に使えるかどうかの話はありますが、プロテスタントが台頭するくらいまで、商人は卑しい人たち、もしくは異教徒が多いというイメージだったようです

 ブルジョア(市民階級の意味、徐々に資本家を指す言葉になっていく)なんてのがでてきますが、まぁ由緒ある家族からしたら、成り上がりものだったでしょうね。


 他の冒険者は?

 これは傭兵なんかを参考にしたら良いと思うんですが、ハッキリ言って、社会的に逸れ者、ゴロツキです。

 お金のには厳しくないと生きていけないというレベル。買い物する時は値切らない奴はアホの世界です。


 ただ、財テクや貯蓄の概念があったかというと、甚だ疑問です。基本その日暮らしでいつ死ぬか分かったもんじゃないですし、大金を持ち歩いたら仲間に狙われる可能性すらある。多分溜め込んでも口には出さな方がいいような世界で、宝石なんかで小さくまとめて隠し持っておく方が安全だったのではないでしょうか。


 江戸っ子は「宵越しの銭は持たない」なんて言いましたが、あれも確率的に数年に一回家が焼けるよほど火事の多いところに住んでいたから、なんて話もあります。


 何かのきっかけでパーになるんだからモノに変えとかなきゃ損、となるわけです


 そして傭兵達は、そこそこいい稼ぎだったようですが、さらにボーナスタイムがありました。


 そう、掠奪ですね。


 日本の戦国時代でも、「乱取り」と呼ばれましたが、これも傭兵とってはボーナスタイムです。

 ヨーロッパでは、戦争が無くなると稼ぎが無くなるので、わざと、戦争を長引かせるような真似をしていたので、一般市民からはずいぶん嫌われていたようです。

 スイスが永世中立なのは土地が山岳地帯のため、傭兵で出稼ぎするしかなく、どこの国にもスイス人傭兵がいたからだ。みたいな話がありますので、要するに傭兵って


 定住して稼げないゴロツキ


 多分、冒険者ってこういうイメージw


 村にやってきたら、ひとまず女子供は家に隠れるレベルですw


 ジプシーやらロマニーなんて流れものも、あまり良いイメージがなかったようです。


 何しろ定住してないので、税を払ってません。


 領主からしても歓迎する理由はあんまり無いんですよね。


 魔物が跋扈するナーロッパ世界でも同様でしょう。

 ちゃんとした領主なら村を守ってくれるので、冒険者に頼み事なんかありません。


 領主の力が弱ければ、これはもう魔物が出てきてる以上、ボヤボヤしている暇はありません(魔物の脅威度によるとおもいますが)。なんなら年貢をボイコットしたり、領主を追い出した上で、自衛して武装するか、それが無理なら移住するかです、どうしょうもない人が冒険者になる。


 ‥‥あ、そういう導入リアルですねえ。


 こうなると、騎士が頼りになる事情はなんとなく、お察しですね。


 安定収入があるし、治安を守る義務もあるので、まぁ村人に掠奪を働くことはないでしょう(少なくとも自分の領地では)

 ただ、まぁ、騎士といえば、おおよそ従軍する時は従卒が五人くらいつくのが基本みたいなので、お金の支払いややりくりはその家来がやっていたでしょうね。


 何しろ高貴な人は、お金がどうこうって言うのが卑しいようなのでw


 多分、よほどしっかりした人でもない限り金銭感覚はザルになりがちのようです。


 この辺、貨幣経済が発達していない事もあり、貯蓄とか補給に関する考え方がかなり未発達だったと思われます。

(貯蓄、貯蔵したくても貨幣の量、流通範囲が少なすぎてできない)


 アーサー王はじめ。、日本の源平の話でも、進軍がしょっちゅう補給切れで動かなくなっています。

 戦乱が起きている時期は飢饉も併せて起こっているという背景もありますが、基本補給が現地調達。すなわち掠奪に頼っていた為です。


 南北朝時代の北畠顕家なんかは、十万の軍勢を強行軍で東北から掠奪しながら近畿まて連れてきて、最終的に補給切れで壊滅。


 前回似たような事して勝利してたから気持ちはわからないではないですが、現代の感覚では誰が止めろよと言いたくなる雑さです。


 ‥‥まぁ、近代でもインパール作戦とかで似たような失敗してますから、なんか戦って勝つ以外の事を考えるのはダメ、みたいなのがこうさせるんですかねえ?


 孫子の兵法で補給は掠奪でとされてはいますが、十万はやりすぎだよねw(兵数が本当かどうかという疑問もありますが)


 日本の戦国時代くらいになると、実力主義の世界のせいか、卓抜した経済センスを持った武将が出てきます。

 信長、家康もそうですが、秀吉なんか敵の兵糧を高値で買い付けて飢餓に陥れるみたいなことやってますからね。


 ほんで江戸時代。

 平和になったせいか、朱子学のせいかはわかりませんが、やはりお金を使う事がなんか卑しいという流れが出てきます。

 この辺「武士の家計簿」や「決算忠臣蔵」でだいぶ生々しく描かれていますが。もう、武士はお金の事なんか考えないのが美徳と思っているフシすらあります。


 福沢諭吉だったかが、子供の頃に、醤油かなかんかを買いに行くと、すごく奇異な目で見られた話をしていました。

 下人を使いに出せない武士はこっそり夜にでも買い物に行くものだったようで、買い物はみっともない行為だったんでしょうね。


 庶民だって基本はツケです。

 年の瀬とかにまとめて集金、年が明けるまで逃げ回れたら支払い引き延ばし成功!

 みたいなルールまであったようでw


 1673年に呉服の越後屋が、定価販売、現金取引をやり始めたのがかなりのインパクトがあったようです。

 それくらい、貨幣経済が未発達で現金取引が珍しかったという事でしょう。


 ちなみに吉原は、現金、先払いが原則(追加料金あり)で有名な所で、ツケが効くのは相当なお大尽だったようです。

 珍しく、大金を持ってる人がいっぱいるのでスリの名所だったなんて話まであります。


 幕末の会津の話が紹介されているのをみましたが

 武士の子がお祭りに行く際、親に財布を渡されるそうです。

 で、屋台に行ったら、財布をお店の人に渡す。

 お店の人は必要な分財布からお金を抜いて財布を渡す。


 ……なんてやり取りをしているという回想があります。


 なんかちょっと信じられない話ですが全くお金を診なくて済むシステムがあったようです。


 なんか、時代劇で粋な男がお店でぽんと財布を渡すような芝居がありますが、あれが粋な仕草だったんですかね?

 確かに、まぁ、財布からじゃりじゃりお金を出して「おいくら?」なんで聞くよりは粋な感じはしますが……


 明治生まれの良家のお嬢様が、「結婚するまでお金なんか見たことなかった」と言っていたという証言もあります。

 なんかこう、何がいくらか考えるのが卑しい、みたいなのが日本ではけっこう最近まであったような気がします。


 さて、題名の話。

 なぜ貧乏貴族が出来上がるのか?


 まず、今まで見た通り、根本的に高貴な人はお金のことを考えないことが高貴。みたいな感覚があります。こんな価値観では、よほど意識が高くないと金銭感覚が育ちません。基本は執事なんかにまかせっきり。


 そして、貴族は固定費が無駄にかかります。


 屋敷の広さ、儀礼、儀式への参加、召使を養うお金など、権威を保つために払わないといけないお金で出費が埋め尽くされており、実は自由に使えるお金って意外に少なかったりするのです。


 江戸時代の場合、大名の格によって参勤交代の同行者の数が決まっていたり、武士でも何人下男を雇わないといけないとかいう規定が、がっちり決められており、節約が実にやりにくい。


 桜田門外の変の際、同行していた行列のお供の大半が町人のアルバイトで、斬りあいが始まったとたんほとんど逃げ散った、という話からも、大老をやっている彦根藩のような大名でも、この辺のやりくりに大変苦労していた様子が分かります。


 こんな状態で商人に騙されたり、大事業に失敗でもしたらどうなるか?


 領地の収入は戦争で増やしたりでもしない限りほぼ固定。


 なんなら不作で減る場合もあるので、リカバーが非常に難しい。


 借金まみれなのに、贅沢な暮らしをしないといけないというなんかものすごい状態になっていきます。


 そして、貴族はそれなりの義務ある。


 国によって違いもあるでしょうが、戦争ともなれば借金してでも、やらなきゃいけないことがある。


 第二次世界大戦で、一般市民のために自分のお城を解放したイギリスの貴族が居ましたが、こんなのは美談の部類で、中世でも戦費の調達で領地を担保に借金した事例が山のようにあります。


 当然、戦争に勝つ前提なんでしょうけど、防衛戦や負けた時には悲劇的な事になります。


 傭兵に金は払わねばならず、領地は略奪で荒れ放題。


 これ、ちゃんと返せたのかなぁ?


 なんて思うわけですが、借金のカタに領地そのものをぶんどられたり、税収を商人に吸い上げられる事例はあったんじゃないでしょうか?


 で、また商人のイメージが悪くなる、という流れですねw


 ナーロッパではどうでしょう?


 常に魔物が出没する区域では、常にそれに対する出費があるはず。


 贅沢できる貴族って、結構安全圏に領地があるか、その辺の領地経営がそれなりに順調な貴族のみ……いや、実は借金まみれだけど贅沢しているかもしれません。


 ナーロッパ貴族の台所事情。

 一度考えてみてはいかがでしょう?


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