六話
あれから俺達は冬香達と合流した。そして、俺達の冒険に必要な特別なバックや服を買う為に、ニーロ達がお世話になってるという服屋に来ていた。その服屋の外見は一見二階建ての普通の家に飾りを付けたようだが、建物の前には『服屋 キーニャ』という文字と猫の絵が服描かれた看板が出ていた。大通りにある服や屋は奇抜なデザインの店がいくつかあったが、それと比べて普通過ぎた。所謂知る人ぞ知るお店という感じのようだ。
「邪魔するぜー」
ニーロはそういいながら扉を開けると、扉についていた鈴が綺麗な音を立てた。それと同時に「いらっしゃいませー!」と元気の良い声が店内に響き渡る。店内には数々のサイズの服が綺麗にハンガーと物干し竿を用いて並べられていたり、棚に畳まれて置かれていたりと整頓されていた。外見からは想像で出来ないような内装、そして多少大きく感じた。店内には一人の猫耳が付いた帽子を被った女性がカウンターの中にあった作業台で作業をしており、店の鈴の音でこちらに気づき女性は上半身を捻りこちらに向く。
「あっ、ニーロじゃん!久しぶりー!」
「よぉ、久しぶり『キーニャ』元気だったか?」
「モチロン!セシリアもおひさー!」
「えぇ、久しぶりね」
キーニャと呼ばれた女性は持っていた服を台に置き、ニーロの近くに移動した。キーニャの背が思った以上より高かく、190cm程あると思われるニーロの身長を越しており、少なくとも200cmはありそうだった。店内の内装が普段より大きく感じたのはキーニャを基準に作られているからだろうか。
「こんにちはー!」
「お!この辺では見ない子だねぇー!こんにちは!」
冬香はキーニャに元気に挨拶すると、キーニャは尻尾を左右に大きく動かしながら返した。
......俺は前の文に何か違和感を感じた。尻尾......?
「尻尾!?」
「そういえば千秋は初めて見るんだったな。獣人」
「へー!初めてだなんて珍しいねー!私は猫の獣人なんだよー!ニャー!」
キーニャは猫のように顔の前に腕を曲げる。その時に猫耳付きの帽子も少し動いたように見えた。
「耳も本物なんですか!?」
「そうニャニョー!」
冬香の言葉にキーニャは帽子を脱いだ。すると黄色の髪色と同じ色の耳が出てきた。元の世界ではゲームやアニメの中だけに居た存在が今目の前にいる。俺達は「おー!」と歓喜の声をあげた。
「そんなに驚いてくれるなんてなんか嬉しいね~」
キーニャは尻尾を大きく揺らす。どうやら尻尾の動きは感情に合わせて動くらしい。
「尻尾触ってみてもいいですか!?」
「いいよー!優しくねー!」
「失礼しますー!」
キーニャはしゃがみ、冬香は嬉しそうに尻尾を触った。
「さっき『猫の獣人』って言ってましたけど種類があるんですか?」
「そうニャニョー!私いた所だと馬だったり犬だったり狐だったりねー!」
キーニャは俺の質問に分け隔てなく答えてくれた。
「あとね!これは私のお願いなんだけど、獣人には時々二つの種類が混ざった人が居るんだよ。『キメラ』って言われててね。その人とも普通に接してあげてね」
俺と冬香は素直に返事をすると、キーニャは笑ってくれた。
「よし!じゃー今日はサービスしちゃうよー!どんどん買っててねー!」
キーニャはそういうと俺達が入る服の場所を案内してくれた。キーニャの話によれば、ここのお店は背が高い人、体型が大きい人、そしてここ、人間領の中にある王都ヒューゲンには少ない獣人の為の服と少し訳アリの人達の服を多く仕入れているらしい。そして、俺達は「これいいよな」等一言でも言うと、横からニーロが「これくれ!」と、どんどん買おうとするので止めたりしながら服を決めた。結局服を三着程ずつ買ってもらった。次にバックの事を話すと、裏から新品のバックを二つ持ってきてもらった。バックにはワンポイントだけ縫ってもらえるとのことだったため、俺は花火、冬香を雪だるまを縫ってもらった。
***
カバンの中に入った服を背負い住宅地を歩く。今からニーロが最近買った家に行くらしい。お金の使い方を見ていると相当なお金持ちなのかと思っている。もしかしたら屋敷などに住んでいるのかもしれない。
「着いたぜ」
ニーロが指を指した家は二階建ての木材とレンガで出来た普通の家だった。それを見てなんだか少しほっとした。いや、時代背景から見ればここも結構いい所なのかもしれない。俺達は中に入る。中はキッチンや机や椅子、それぞれが綺麗に手入れされていた。
「お邪魔しまーす!」
「お邪魔します」
俺達のその言葉にセシリアはくすくすと笑う。
「ただいまでいいのよ。これからはあなた達の家でもあるんだから」
俺と冬香は改めて「ただいま!」と言った。
「お前たちの部屋は二階にあるぜ。ちょっくら案内してくるわ」
ニーロが荷物を机に置く。セシリアは「えぇ」と笑顔で返事をした。
俺達は二階に上ると、廊下の他に右に二つ、左の二つの計四つの扉があった。ニーロからは左二つが空き部屋だという事で、話合ってどっちか決めるとのことだった。結果として、俺は奥の方の部屋を使う事になった。部屋の中には二つの窓とベットと椅子と机そしてクローゼットがあり、部屋としては完璧だった。この後、夕食時になるとニーロ達と一緒に外食することになっている。それまでは自由時間だ。俺は荷物を机に置き、横たわる。ようやく来た一人の時間、何かを考えるには丁度いい。俺はスマホを取り出した。
「スマホの充電も残り20%か......」
机の上にはキャンドルホルダーの上に蝋燭が置かれており、充電は到底出来そうになかった。雷の魔法で上手い具合にと考えたが、充電器が無い以上壊れる危険性も高い為やめた。この世界ではスマホはオーバーテクノロジー考えた方がいいだろう。だがそのテクノロジーももうすぐ鉄くずになる。何か出来ることはないか?と考えた。
「骨董品売り場とかに充電器売ってないかな」
と呟いてみるがすぐに無いだろうという考えに辿り着く。だったら作るのはどうだろうか。そんな技術と知識は持ち合わせていない。
「あっ、こういう時こそ」
俺は部屋を飛び出し一階へ向かう。一階ではニーロとセシリアが椅子に座り談笑していた。
「どうしたの千秋くん。まだ時間じゃないよ?」
「聞きたい事がありまして、スマホの充電の事なんですけど......」
「ジュウデン?何だそれ」
そりゃそうだな。と思い、俺は頭をフル回転させた。
「このスマホ、電気っていう力で動いててそれが無くなってきてるんです。簡単に言えば魔力みたいな?」
「デンキ......どんな力なの?」
「雷をずっと弱くした感じです。本来ならケーブルといってこの穴の部分にさせるものがあるんですけど......」
「ちょっと複雑そうね」
三人は悩む。するとニーロが声を上げた。
「投影屋に聞いてみたらいいんじゃないか?」
「そうねぇ......あそこだと何か手掛かりがあるかも」
「投影屋?」
聞きなれない言葉に俺は首を傾げる。
「投影ボックスを売っている所だよ。冒険者カード作ってる時にでっかい奴があっただろ?それもそこがつくってるんだよ。どういう技術か分からないけどな」
「でも今の時間帯だとあいてるかな?」
「そうだな。千秋、明日でもいいか?」
「大丈夫です、すみませんありがとうございます」
俺は二階へ駆けあがる。すると冬香が扉を開けて顔を出しこちらを覗いていた。そして手招きされる。その手招きに招かれ、俺は冬香の部屋へと入る。冬香の部屋も俺の部屋と変わらず、ベット、机、クローゼットがあった。俺は椅子に座り、冬香はベットに座った。
「何話してたの?」
「充電器の事」
「あー確かに充電無くなってきたかも!」
「何パー?」
「29!」
「俺より多いな」
「そうなの?どのくらい?」
「20」
「そっかー」
少しだけ沈黙の時間が流れた。少し気まずくなった。俺は「んじゃ」と部屋を出ようとする。
「あっ、待って!」
「どした?」
「いやーなんか今日色々とあったじゃん?ちょっと色々と状況を整理したくてさ」
「確かに、ちょっと整理してみるか」
俺はまた椅子に座る。
「あの竜の鎧はなんなんだろうね、いきなり現れてさ」
「考えられるとしたら世界を侵略しに来た別の世界の人とか?こっちに来るときも魔法陣に取り込まれてきたし」
「そしたら絵里おばさんがいってた『エリー・ルゼルファー』の事。あれって絵里おばさんの事?」
「えりとエリー、だからその可能性が高いと思う。でも何でその名前を俺達に......?」
「もしかしたらギルドって他に意味があるのかも知れないね。その辺も探してみる?」
「確かに、他の意味もあるかも知れない。明日色々と探してみるか」
冬香はベットに倒れ込む。
「あーあ、皆無事かなー?元の世界に戻れるのかなー?」
「冬香は元の世界に戻りたいのか?」
「うん、だって色んなことしてみたいもん。バンジージャンプでしょ?でっっっかいパフェも食べたいし、車も運転してみたいし、日本一周、いや、世界一周してみたいもん」
「いいなそれ」
「でしょー?その時は千秋も一緒ね!」
「俺もいいの?」
「当たり前じゃん、なんで駄目なんだよー」
「そっか」
冬香は二ヒヒと笑う。やはり冬香はすごい、両親を失ってもこんなにも未来の事を考えてる。俺も負けてられてない。
「んじゃ、元の世界に戻る為に頑張らないとなー!」
俺は立ち上がり、腕を天に伸ばした。その言葉に冬香は「おー!!」と反応した。その時、俺の肩に懐かしく温かな二人の手が添えられた気がした。俺はそれが誰だか一瞬で理解した。ずっと見守っていてくれていた。
ありがとう。二人とも俺はもう大丈夫だから。俺がそう心で強く思うと、二人は背中を叩かれたような気がした。
俺は振り返るともう二人の気配はなかった。悲しい気持ちはないと言ったら嘘になるが、もう大丈夫だ。もしかしたら二人は遠くで見守っていてくれているのかもしれない。あの花火の夢の続きを考えるとしたら、暗闇の中から冬香が来て一緒に競ってくれて、そしてそこに笑顔で見守ってくれるニーロとセシリアが現れる。って所 あれから俺達は冬香達と合流した。そして、俺達の冒険に必要な特別なバックや服を買う為に、ニーロ達がお世話になってるという服屋に来ていた。その服屋の外見は一見二階建ての普通の家に飾りを付けたようだが、建物の前には『服屋 キーニャ』という文字と猫の絵が服描かれた看板が出ていた。大通りにある服や屋は奇抜なデザインの店がいくつかあったが、それと比べて普通過ぎた。所謂知る人ぞ知るお店という感じのようだ。
「邪魔するぜー」
ニーロはそういいながら扉を開けると、扉についていた鈴が綺麗な音を立てた。それと同時に「いらっしゃいませー!」と元気の良い声が店内に響き渡る。店内には数々のサイズの服が綺麗にハンガーと物干し竿を用いて並べられていたり、棚に畳まれて置かれていたりと整頓されていた。外見からは想像で出来ないような内装、そして多少大きく感じた。店内には一人の猫耳が付いた帽子を被った女性がカウンターの中にあった作業台で作業をしており、店の鈴の音でこちらに気づき女性は上半身を捻りこちらに向く。
「あっ、ニーロじゃん!久しぶりー!」
「よぉ、久しぶり『キーニャ』元気だったか?」
「モチロン!セシリアもおひさー!」
「えぇ、久しぶりね」
キーニャと呼ばれた女性は持っていた服を台に置き、ニーロの近くに移動した。キーニャの背が思った以上より高かく、190cm程あると思われるニーロの身長を越しており、少なくとも200cmはありそうだった。店内の内装が普段より大きく感じたのはキーニャを基準に作られているからだろうか。
「こんにちはー!」
「お!この辺では見ない子だねぇー!こんにちは!」
冬香はキーニャに元気に挨拶すると、キーニャは尻尾を左右に大きく動かしながら返した。
......俺は前の文に何か違和感を感じた。尻尾......?
「尻尾!?」
「そういえば千秋は初めて見るんだったな。獣人」
「へー!初めてだなんて珍しいねー!私は猫の獣人なんだよー!ニャー!」
キーニャは猫のように顔の前に腕を曲げる。その時に猫耳付きの帽子も少し動いたように見えた。
「耳も本物なんですか!?」
「そうニャニョー!」
冬香の言葉にキーニャは帽子を脱いだ。すると黄色の髪色と同じ色の耳が出てきた。元の世界ではゲームやアニメの中だけに居た存在が今目の前にいる。俺達は「おー!」と歓喜の声をあげた。
「そんなに驚いてくれるなんてなんか嬉しいね~」
キーニャは尻尾を大きく揺らす。どうやら尻尾の動きは感情に合わせて動くらしい。
「尻尾触ってみてもいいですか!?」
「いいよー!優しくねー!」
「失礼しますー!」
キーニャはしゃがみ、冬香は嬉しそうに尻尾を触った。
「さっき『猫の獣人』って言ってましたけど種類があるんですか?」
「そうニャニョー!私いた所だと馬だったり犬だったり狐だったりねー!」
キーニャは俺の質問に分け隔てなく答えてくれた。
「あとね!これは私のお願いなんだけど、獣人には時々二つの種類が混ざった人が居るんだよ。『キメラ』って言われててね。その人とも普通に接してあげてね」
俺と冬香は素直に返事をすると、キーニャは笑ってくれた。
「よし!じゃー今日はサービスしちゃうよー!どんどん買っててねー!」
キーニャはそういうと俺達が入る服の場所を案内してくれた。キーニャの話によれば、ここのお店は背が高い人、体型が大きい人、そしてここ、人間領の中にある王都ヒューゲンには少ない獣人の為の服と少し訳アリの人達の服を多く仕入れているらしい。そして、俺達は「これいいよな」等一言でも言うと、横からニーロが「これくれ!」と、どんどん買おうとするので止めたりしながら服を決めた。結局服を三着程ずつ買ってもらった。次にバックの事を話すと、裏から新品のバックを二つ持ってきてもらった。バックにはワンポイントだけ縫ってもらえるとのことだったため、俺は花火、冬香を雪だるまを縫ってもらった。
***
カバンの中に入った服を背負い住宅地を歩く。今からニーロが最近買った家に行くらしい。お金の使い方を見ていると相当なお金持ちなのかと思っている。もしかしたら屋敷などに住んでいるのかもしれない。
「着いたぜ」
ニーロが指を指した家は二階建ての木材とレンガで出来た普通の家だった。それを見てなんだか少しほっとした。いや、時代背景から見ればここも結構いい所なのかもしれない。俺達は中に入る。中はキッチンや机や椅子、それぞれが綺麗に手入れされていた。
「お邪魔しまーす!」
「お邪魔します」
俺達のその言葉にセシリアはくすくすと笑う。
「ただいまでいいのよ。これからはあなた達の家でもあるんだから」
俺と冬香は改めて「ただいま!」と言った。
「お前たちの部屋は二階にあるぜ。ちょっくら案内してくるわ」
ニーロが荷物を机に置く。セシリアは「えぇ」と笑顔で返事をした。
俺達は二階に上ると、廊下の他に右に二つ、左の二つの計四つの扉があった。ニーロからは左二つが空き部屋だという事で、話合ってどっちか決めるとのことだった。結果として、俺は奥の方の部屋を使う事になった。部屋の中には二つの窓とベットと椅子と机そしてクローゼットがあり、部屋としては完璧だった。この後、夕食時になるとニーロ達と一緒に外食することになっている。それまでは自由時間だ。俺は荷物を机に置き、横たわる。ようやく来た一人の時間、何かを考えるには丁度いい。俺はスマホを取り出した。
「スマホの充電も残り20%か......」
机の上にはキャンドルホルダーの上に蝋燭が置かれており、充電は到底出来そうになかった。雷の魔法で上手い具合にと考えたが、充電器が無い以上壊れる危険性も高い為やめた。この世界ではスマホはオーバーテクノロジー考えた方がいいだろう。だがそのテクノロジーももうすぐ鉄くずになる。何か出来ることはないか?と考えた。
「骨董品売り場とかに充電器売ってないかな」
と呟いてみるがすぐに無いだろうという考えに辿り着く。だったら作るのはどうだろうか。そんな技術と知識は持ち合わせていない。
「あっ、こういう時こそ」
俺は部屋を飛び出し一階へ向かう。一階ではニーロとセシリアが椅子に座り談笑していた。
「どうしたの千秋くん。まだ時間じゃないよ?」
「聞きたい事がありまして、スマホの充電の事なんですけど......」
「ジュウデン?何だそれ」
そりゃそうだな。と思い、俺は頭をフル回転させた。
「このスマホ、電気っていう力で動いててそれが無くなってきてるんです。簡単に言えば魔力みたいな?」
「デンキ......どんな力なの?」
「雷をずっと弱くした感じです。本来ならケーブルといってこの穴の部分にさせるものがあるんですけど......」
「ちょっと複雑そうね」
三人は悩む。するとニーロが声を上げた。
「投影屋に聞いてみたらいいんじゃないか?」
「そうねぇ......あそこだと何か手掛かりがあるかも」
「投影屋?」
聞きなれない言葉に俺は首を傾げる。
「投影ボックスを売っている所だよ。冒険者カード作ってる時にでっかい奴があっただろ?それもそこがつくってるんだよ。どういう技術か分からないけどな」
「でも今の時間帯だとあいてるかな?」
「そうだな。千秋、明日でもいいか?」
「大丈夫です、すみませんありがとうございます」
俺は二階へ駆けあがる。すると冬香が扉を開けて顔を出しこちらを覗いていた。そして手招きされる。その手招きに招かれ、俺は冬香の部屋へと入る。冬香の部屋も俺の部屋と変わらず、ベット、机、クローゼットがあった。俺は椅子に座り、冬香はベットに座った。
「何話してたの?」
「充電器の事」
「あー確かに充電無くなってきたかも!」
「何パー?」
「29!」
「俺より多いな」
「そうなの?どのくらい?」
「20」
「そっかー」
少しだけ沈黙の時間が流れた。少し気まずくなった。俺は「んじゃ」と部屋を出ようとする。
「あっ、待って!」
「どした?」
「いやーなんか今日色々とあったじゃん?ちょっと色々と状況を整理したくてさ」
「確かに、ちょっと整理してみるか」
俺はまた椅子に座る。
「あの竜の鎧はなんなんだろうね、いきなり現れてさ」
「考えられるとしたら世界を侵略しに来た別の世界の人とか?こっちに来るときも魔法陣に取り込まれてきたし」
「そしたら絵里おばさんがいってた『エリー・ルゼルファー』の事。あれって絵里おばさんの事?」
「えりとエリー、だからその可能性が高いと思う。でも何でその名前を俺達に......?」
「もしかしたらギルドって他に意味があるのかも知れないね。その辺も探してみる?」
「確かに、他の意味もあるかも知れない。明日色々と探してみるか」
冬香はベットに倒れ込む。
「あーあ、皆無事かなー?元の世界に戻れるのかなー?」
「冬香は元の世界に戻りたいのか?」
「うん、だって色んなことしてみたいもん。バンジージャンプでしょ?でっっっかいパフェも食べたいし、車も運転してみたいし、日本一周、いや、世界一周してみたいもん」
「いいなそれ」
「でしょー?その時は千秋も一緒ね!」
「俺もいいの?」
「当たり前じゃん、なんで駄目なんだよー」
「そっか」
冬香は二ヒヒと笑う。やはり冬香はすごい、両親を失ってもこんなにも未来の事を考えてる。俺も負けてられてない。
「んじゃ、元の世界に戻る為に頑張らないとなー!」
俺は立ち上がり、腕を天に伸ばした。その言葉に冬香は「おー!!」と反応した。その時、俺の肩に懐かしく温かな二人の手が添えられた気がした。俺はそれが誰だか一瞬で理解した。ずっと見守っていてくれていた。
ありがとう。二人とも俺はもう大丈夫だから。俺がそう心で強く思うと、二人は背中を叩かれたような気がした。
俺は振り返るともう二人の気配はなかった。悲しい気持ちはないと言ったら嘘になるが、もう大丈夫だ。もしかしたら二人は遠くで見守っていてくれているのかもしれない。あの花火の夢の続きを考えるとしたら、暗闇の中から冬香が来て一緒に競ってくれて、そしてそこに笑顔で見守ってくれるニーロとセシリアが現れる。って所だろう。




