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名前だけの人生相談部に学年1の美少女が人生相談に来てしまった。  作者: 時雨白
第4章 必要なのは広い視野と冒険させられること
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ギリギリ

 それを聞かれは隅風は一瞬驚いた表情をして、すぐに冷静な表情に戻る。


「そうだな、自分がそうしたいと思ったからかな」


 隅風が放った言葉の意味が分からなかったわたしは沈黙する。


 自分がそうしたいからとはどう言うことだろうか。


「そんなに難しいことではないよ。ただ、これをするべきだと自分の心が思った。僕はそれに素直に従っただけの話だよ」


 よりわかりやすく説明してくれるのだが、それでもまだピント来ていないわたしは難しい表情をする。


「これで分かると思ったんだけどな。」


 隅風も私の予想外の反応に困った表情をするが、そのあと何かを閃いたかの「そうか!」といった。


「うまくは言えないけど、これは諦めきれないと思うものに触れたからかな。桜木で言うなら、本当の幸せとは何かを知りたいと思う気持ちかな」


「あ・・・・・・!」


 隅風のその言葉を聞いて、わたしは全てのピースが揃ったような感覚に襲われる。


 今までのわたしの行動を振り返ると、全ての始まりが本当の幸せとは何かを知りたいという気持ちから始まっていることに気がつく。


 人生相談に相談したのも、テストで失敗して落ち込んだ時も、家族会議の時も、テスト対策の時も、そして今のこの行為も、その全てにおいての原点は本当の幸せは何か知りたいという気持ちからだった。


 辛いこと、が何度もあった、膝を折って諦めたいと思った時が何度でもあった、そんなの時、毎回立ち上がれたのは、隅風たちの言葉もあったが、何よりもわたしの中で決して諦めきれないものがあったからだ。


 それをどうしても知りたいと、諦めることができないと思うからこそ、どんなことでもするのだ。


 例え、それが客観的に見れば非合理的だと思っても、絶対に曲げれない、自分の信念と言えるようなものを守るためと考えるなら非常に合理的なことなのだ。


 今回もそう、無理してまで冒険させられたのは、本当の幸せとは何か知りたいという自分のどうしても諦められない、曲げれないものが根底にあったからだ。


 今まで苦戦していた非合理的な行動に関しても説明がつく。


 彼らにもあったのだろう。どうしても曲げれない、諦められない何が、そのために他人から見て非合理的に見えることをするのだ。


 だが、彼らの中では合理的なのだ。


 今まで悩んでいたが綺麗に消えることがわかる。


 答えは非常に単純で、私が最初から持っていたものなのだ。


 堀川先生もああ言うはずだ。


 諦めないからこそ、ここまでの行動をしているのだ。


「分かってくれたようで良かったよ。」

 

 私の様子を見て、理解してもらえたことを察知して安堵する隅風。


 今回の件しかりだが、本当に多くのところで隅風には助けてもらっている。


 だから、わたしは心を込めて感謝を伝える。


「隅風くん、本当にありがとう。わたし、絶対に一位取るから期待してて」


「期待して待ってるよ」


 どう言う状況かまだ理解しきれていない隅風は動揺するが、何かを理解したのか安心した表情をしながら言った。


「悩み事も解決したし、帰るか」


「うん」


 そうして、私たちは家に戻るのであった。









隅風駿人視点


「また明日」


「また明日」


 桜木はこちらの方へと手を振ってエントランスを通っていく。


 桜木の姿が見えなくなるまで待ったあと、僕は自分の家に戻る。


 桜木のマンションから十分離れたことを確認した後、僕は「ギリギリだったー!」と心の内を声に出して言う。


 今回は色々と本当にギリギリだった。


 あの日からただただ待つ日々、削れていく体力と神経、本当によく耐えたと思う。


 それにこんな時間帯にあのようなお願い事をされるのも完全に予想外だ。


 この時間帯に家を抜け出すのも戻るのも大変だ。


 その他にも色々と問題があった。


 桜木は特に何も考えていないようだったが、こんな時間帯に会うなんて、他の人から見れば恋人にしか見えないような行為だ。


 桜木の考えが読みきれず、当たり障りのないようにうまくやらないといけなかった。


 こちらは、葵の兄である竜馬さんと協力体制という形で関係を持っているのだ。


 下手なことをしたら、兄の手によって消される可能性すらあるのだ。


 桜木はある意味天然かもしれない。


 このことは絶対に報告はしないでおこうと心に誓う。


 しかしながら、本当にギリギリの場面が多かった。


 誰か一つでも行動が遅かったりしたら、この結果には決してならなかったはずだ。


 何度冒険させられたことか、これでは心がもたない。


 この後はテストが終わるまでは何もしたくない。


 それほどまでに色々とギリギリ過ぎた。、


 だけど、最後の桜木の表情は絶対にできると確信できるほど自信に溢れるものだった。


 なんだかんだあったが、桜木に関しては僕ができることはもうないだろう。


 人知を尽くしたので後は天命を待つだけだ。


 そんなことを思いながら僕は帰る。


 現在の時間は2時、明日起きれるかどうかが今の所の最大の不安点だった。


 


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