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名前だけの人生相談部に学年1の美少女が人生相談に来てしまった。  作者: 時雨白
第4章 必要なのは広い視野と冒険させられること
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貸し借り

 僕の登校時間は比較的に早く、教室に着くかも比較的1番のことが多い。しかしながら、ここ最近では1番ではないことの方が多い。


 特に一番にこだわっているつもりはないが、日常の変化には鋭いので、どうしてそうなっているのかは気になるところだ。


「さて、今日は一番かな?」


「どうでもいいだろ」


「まあね」


 そんなことを喋りながら、僕は教室のドアを開ける。


 教室には一人ぽつんと勉強している麦野さんがいた。


 そう、ここ最近麦野さんは僕よりも早く来て、ここで勉強していることが多い。その傾向が現れ始めたのは中間テストが終わり始めたぐらいからだ。


 今までは席が遠く、関わりがないこともなかったので勉強の邪魔をしないように、そっとしていたのだが、今日はそうも言ってられない。


 僕は自分の席まで向かうと、荷物を置いて、隣にいる麦野に向かって言うのだ。


「おはよう麦野さん。朝から勉強てすごいね」


「おはよう、別にすごいことじゃないよ。やりたいと思ってやってるだけだから。」


「そうなんだ」


 麦野さんはこちらに軽く挨拶するとすぐに勉強に戻る。


 会話の感じ、必要最低限の対応をしただけであり、声には抑揚が一切なかった。


 だが、挨拶を返してくれただけでも、僕の目的は達成されたと考えていいだろう。


 挨拶とは非常に大切だ。挨拶をしても対して違和感を抱かれる事はなく、はじめての人でも会話のキッカケを作ることができる可能性がある。


 また、毎日挨拶をする事で、警戒心が自然と薄れていき、ヤバくなった時に助けを求めやすくなる。


 だからこそ、僕は親しい仲と席が近くなった人には挨拶をする様に心掛けている。


 なぜなら、英語の時間に助けを乞う為である。


 桜木にも言ったが、僕は英語が壊滅的にできない。発音通りに書けないところや、書いてある通りに言っても発音が違うところなど、記憶力が雑魚の僕にとっては英語は僕の天敵であった。


 そして、僕の運の悪さから基本的には授業問わずに当てられるのだが、英語の時も普通に当てられることが多く、そのたびにピンチになり、さまざまな手段を活用にしてどうにか切り抜けている。


 その中でも一番活用しているのは、友達の助けだ。


 勿論、それを当てにしているわけではなく、対策できる所はしっかりと対策してきており、いつでも答えられるようにしているが、先生オリジナル問題が普通に存在し、当てられるため、対策が意味をなさない。


 先生オリジナル問題を初見では解いたこともない。まだ、並び替えなら少々の恥をかくだけで、済むのだが、一から書くとなると終わりだ。


 よって、僕は周りに助けを求められるように挨拶といった地道な積み重ねをしている。


 このクラスの中で英語が一番できないレベルであるため、誰に聞いても少なくとも僕以上の結果を出してくれるため、汎用性は少しだけある。


 しかしながら、毎回こうするのも面倒なのでそろそろどうにかしたいと考えているが、自分だけでは分からないところが多すぎて、どうにかできない。


 桜木にテストが終わった後に教えてもらったほうがいいかもしれない。そんなことを考えながら僕は荷物などをしまう。


 その後は住吉などと雑談とはいかず、最初の時間にはじまる英語に向けて、教科書を開いて予習をしておく。


 僕は授業を苦もなく乗り過ごしたいため、こう言った軽い予習復習はする。


 こうすることで、他所ごとを考えていても、余裕で授業にはついていける。


 そうして、英語の授業が始まるまで勉強をして、英語の授業がはじまる。


 英語の授業では、年齢は60代の筈なのだが、見た目的に40代にしか思えないほどイカした男性教室こと、福山透(ふくやまとおる)先生がしてくれる。


 福山先生の授業は堀川先生と同じく、さまざまな視点から話してくれる上に、福山先生は海外旅行などアウトドア系の趣味を非常に多く持っており、その言ったことも混じえて話をしてくれるので非常に人気な先生である。


 また、バンドなどもしており、バンド部の顧問もしているといった、まさに理想の大人みたいな生活もしており、性格なども温厚で優しいが、しっかりとしたところや僕たちにも通じるノリもあるため、教師、生徒問わずに信用が厚く、学年主任もしている人だ。


「おや、席替えをしたのかい?」


「はい、昨日の朝」


「いつも通り駿人は前だし、問題はないな」


「はは、、、、、、」


 僕は苦笑いする。割と真面目に勉強を受けているので、細かな雑事は大体僕に聞いてくる。


 つまる所、便利屋みたいなことをしている。


 そんな些細な話し合いをした後、授業がはじまる。


 今日は新しい内容から始まるので、最初は簡単なところからはじまる。


 よって僕が対応できないような問題が出る事は少ない。まだ周囲には聞ける人は席替え直後もあっていない。


 まあ、分からない問題が当てられたとしても、できない僕が悪いので、特に困ると言ったこともない。


 ただ、必要以上に恥をかく理由もない。


 そのまま、当てられずに授業は過ぎていく。よし今日は運がいいと思った矢先の出来事だった。


「それじゃあ、最後にこの質問に対しての適切な返しを駿人、答えろ」


「え、」


 僕は黒板を見るそこには英文が書かれている。


Tell it the wise remark that Eleanor Roosevelt said.


 なるほど、分からん。


 僕はそこに書かれている英語の意味が分からなかった。これでは答えようがない。


 当てられてしばらく考えても分からなかったので、素直に分からないと言おうとした時だった。


「Do one thing everyday that scares you.」


 僕ぐらいしか聞こえない音量で麦野が多分だが、答えを言ってくれた。


 僕はそのまま答える。


「正解だ、次はもっと早く答えろよー」


「はい」


 福山先生は、麦野に教えてもらったことを見抜いたのか、最後の方に僕ぐらいしか分からないように釘を刺す。


 そんな感じで色々あったが、無事に英語の時間を乗り越えることができた。


 授業が終了後、僕は麦野にお礼をいう。


「麦野さん、あの時は助かった」


「別に前助けてもらったからその借りを返しただけ」


「それでも、ありがとう」


「ふん、どういたしまして」


 麦野の反応は冷たいものだが、行動だけを見れば、困っていることをしっかり見抜いているあたり、しっかりもこちらも見てくれたのだろう。


 最初はどうなるかと思ったが、なんだかんだいい席替えになるかもしれないなと思いながら次の授業の準備をするのだった。


Tell it the wise remark that Eleanor Roosevelt said.


エレノア・ルーズベルトが言った名言は何?


Do one thing everyday that scares you.


毎日、あなたが恐れていることを一つ行いなさい。


今回使用した英文の日本語訳です。


ちなみに本人は英語は壊滅的なので、英訳様で英訳したものを使用しており、間違っていたらすいません。

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