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名前だけの人生相談部に学年1の美少女が人生相談に来てしまった。  作者: 時雨白
第1章 人生相談部初めての相談
3/72

責任

「探してみる・・・・・・」


 桜木はポカーンとした感じで言った。


 そこまで予想外の解答だったか。


 そんなことを思うが今は、どうでもいい。


「そうです、探してみればいいじゃないですか。分からないのなら、実際に体験してみて、どっちがいいのか決めればいい。今ここで決める必要なんてどこにもない」


 単純な話だ。


 分からないのなら、試してみる。


 そうすればいずれ答えを見つけることができる。誰でもやっていることだ。


 それにこの答えは、今すぐ必要なものではない。時間なら沢山ある。


 ならば、存分にそれを活用しよう。


 僕の言葉を聞き、その言葉の意味を理解したのか、段々落ち着いた表情になっていく。


「焦る必要なんてないんですよ、分からないなら分からないなりに頑張ってみませんか?」


 僕は落ち着いた口調で、語りかける。


「すぐに変わる必要なんてない、落ち着いて自分に何があっているか試しながら変わればいいと思いますよ」


 その言葉を聞いて、彼女に入っていた力が抜ける。


「そうだね、確かにそうです。今すぐ決める必要なんてどこにもありませんね。」


 そうして、彼女に余裕が戻る、そのほっとした表情はとても尊くて、ついつい見惚れそうになる。


 その間少しの間、静寂が訪れる。そして桜木は何かを考え、決めたのか、こちらの顔を向ける。


「本当にありがとう、あなたのお陰でモヤモヤがなくなりました」


「それはどう致しまして」


 そういって、桜木はこの人生相談部から出ていくのであった。


 桜木さんが人生相談部から出ていくのを確認し、一気に力が抜ける。


 どうやら、初めての人生相談はうまくいったようだ。僕はほっとする。


 そうすると後ろから、住吉が出てくる。


「どうやら上手くいったようだな」


 その言葉に僕は少しの沈黙を置いた後に応える。


「上手くいったとおもうよ」

「そうか、それで何か言うことないのか?」


 どうやら色々と見抜かれているようだ。


「人生相談て最後まで責任取らないといけないかな?」

「知るかよ、それこそあいつに言ってように試してみればいいんじゃないか?」


 ぶっきらぼうに答える住吉、おいおい友なのだから少しぐらいは労いの言葉をかけてくれよ。


「なあ、住吉」

「なんだ」

「人生相談は疲れるな」

「やめるのか?」

「人が増えるならやめようかな」


 そんな適当なことを喋りながら僕たちもその部室を後にする。


 あれから2週間程度経った。


 こちらに大きな変化は一切なかった。人生相談部に人が来ることが無く、特にこれと言ったことも無かった。ただ少し変わったことといえば、桜木さんが最近友達と遊ぶようになったらしい、お節介な人物が教えてくれた。


 どうやら、僕のアドバイスを実践してくれているらしい。そして、聞いた感じでは上手く進んでいるとのことで安心する。


 このまま上手くいけば、きっといい感じに成長してくれるだろう。余計な心配も必要なかったな。


 その時の僕は安心した、自分の考えていたことはただの間違いだったのだと。


 それからさらに3週間、丁度中間テストが終わり、その結果が返ってきた次の日だった。


 その日は大雨の日だった。


 いつも情報をくれる人物が少し焦ったように言う。


「桜木が学校に連絡もなしに休んだようだ。遊んでいた友達からの連絡も出ないらしい。どうする駿人?」

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