賭け事
あれから大体2時間程度遊んだだろうか。2人の集中力はすごく、最終的には曲芸の域に到達した射撃に周りに観客が集まるほどだった。
2人の勝負の行方は、最後に桜木が一回だけ勝って終わった。
「疲れたー!休憩する」
「私も休憩したいです」
「お疲れ様」
「2人とも凄かったよー!」
真剣勝負で疲れたのか僕達は人混みなどを避けるため、ドリンクバーなどから離れたところで休憩していた。
「2人とも疲れているでしょ。ドリンク持ってくるけどいる?」
「よろしく」
「よろしくお願いします」
2人は僕の提案に乗ったので僕はドリンクバーに向かおうとする。
「私も行こうか?」
「大丈夫だよ。トレーもあったし、それに鮎莉もそれなりに疲れてるでしょ?」
「あらら、バレてたか」
鮎莉も2人に感化されたのか、途中まで全力で取り組んでいたので、それなりに疲れているはずだ。
それに今の時間帯はそれなりに混んでいる。一人でやった方が色々と楽だろう。それにこれぐらいしか今の僕には出来ることはない。
「それじゃ、いってくるね」
そう告げて、僕はドリンクバーのところへと向かう。ちょうど桜木達が見えなくなった時だろうが、後ろから声をかけられる。
「そこの君、少しいいかな?」
「僕のことですか?」
「そうそう」
僕に話しかけてきたのは、物腰柔らかそうで、イケメンという第一印象からかなりの好感を得ることが出来そうな、二十代前半ぐらいと思える男性だった。
「すまないが、手洗いの場所を知っているかな?荷物のこともあって、出来るだけ早く済ませたいんだ」
中々に答えにくい質問だ。念のために構造を把握していなかったら、答えるのは難しかっただろう。
「なら、一つ下の階の手洗いに行くといいです。そこにある階段を降りて、右に曲がりしばらく行ったところにあります」
「ここの階にはないのかい?」
「ありますが、現在の時間帯ではフードコードなど人が集まるところにあり、混雑していることが予想できるので、あまり人がいない下の階の方が早めに済ませることができると思います」
「なるほど、少し無茶な質問だったけど聞いてくれてありがとう」
無茶な質問だという自覚あったのかよ。なんか、すごい人に関わってしまったと思う。
「それと、もし荷物の方が心配でしたら、あそこに荷物置きがあるので使用するといいと思います。ここの施設は人気のようで、スタッフの方も見回りなどが手に回っていない感じがします。盗まれることことを考えるならそちらの方がいいと思います」
「そこまで考えくれるなんて、親切なんだね」
「いえいえ、簡単にできることをしたまでですよ」
「そうか、本当にありがとう」
そうして、男性は荷物を持って、荷物置き場の方へと向かった。たまにああいう事を聞かれるので、落ち着いて対処できたが、住吉などに聞いてみるとこう言ったことは滅多にないらしい。
どうして、こんな出来事によく遭遇するのか自分の中ではかなり疑問だが、今はジュース取りに行かないといけないのでそちらに向かう。
僕の予想通り、ドリンクバーはかなり混んでいた。複数人だったら、そこそこ面倒だったからだろう。
僕はゆっくりと待ちながら、四人分の飲み物を確保して、元に戻る。
「ごめん、待たせた」
「全然いいよー!」
「ありがとうございます」
みんなで飲み物を飲む。軽い運動をした後の飲み物はいつもとは違った美味しさを感じることができるのでよかった。
「それでこの後はどうする」
ある程度休憩して、みんなの体力も大分戻ってきたので聞く。
「そうだな、ご飯にしてはまだ早いし、ここはスポーツエリアに行って、もう少し運動してからご飯とするか」
「賛成ー!」
「いいと思います」
「異論なしー」
反対がなかったので、次の方針が決まった。
僕達はスポーツエリアに向かう。
スポーツエリアは外のエリアにあり、そこにはバッティングエリアから、アーチェリー、サッカー、バスケ、テニス、バトミントンなど多くのものがある。
それぞれところで楽しく遊んである人を見る。僕的はやったことがないアーチェリーとかがかなり気になる。
他にも、サッカーなどもスポーツの中では得意な方なので気になるが、そこには先客者がおり、ボールを上に高く蹴ったりして遊んでいる。
高さ20メートルぐらいの網のカバーがあるので、相当強く蹴らない限り出ないし、そんな事をする奴もいないから安全にできるようになっている。
さて、どれで遊ぼうかと見回していていたら、住吉が何かを決めたといった感じな表情をする。
「なあ、あれで遊ばない?」
住吉が選んだのは、サッカーの隣にあったバトミントンエリアでた あった。ちょうど人もなくすぐに遊べる。
それにバトミントンも全体的に見れば得意な分野なので僕からは反論はない。
「僕はいいよー」
「私も大丈夫です」
「バトミントンなら私もできる!」
「よし!決定だな」
全員賛成だったので、僕達はバトミントンのエリアに入る。
「なあ、ただやるだけではつまらないよな?」
住吉がニヤニヤしながら聞いてくる。僕的にはそう言った罰ゲームはあまり好きではないが、表情から見るに止めることはできないだろう。
「それで何をするつもりなんだ?」
「いや、ダブルスで負けた方が昼飯を奢るということはどうだろうか?」
「それ楽しそう!」
「確かに、負けられない戦いは燃えますね」
2人もやる気とか、桜木の戦闘狂というかそう言った面が見え隠れしていて、いつも大人しい桜木を見ているととても新鮮に感じる。
こうして、昼飯の奢りを掛けたダブルスが始まるのであった。




