仕上がってきたじゃないの。
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくおねがいします!
「いやはや、中々仕上がってきたね〜」
「当然だ、私達は音楽でだって最強だ」
四人で作曲したメロディーを通しで合わせていくと、結構それっぽく出来ている事に少し感動する。
無論それは始めばかりとは思えない3人の技術のお陰とも言えるが、これなら優勝だって狙えるんじゃないかと自負できるほどだった。
「曲にするとやっぱりテンションあがってくるなぁ」
「一番目立つとこでもあるすもんねぇ、アタシ達は」
俺たちのそれぞれの担当は既に決めていて、ドラムに叶、ベースに愛花、アコースティックギターに俺、ツインギター&ボーカルにアキラを。
「こんなところで練習できるのも、心優さん様々だな」
「家じゃあできないすもんね」
心優さんがよくお世話になっていたというライブハウス。
時間は限られるけれど、そこで練習ができるようにかけあってくれたらしい。
「今度またお礼に行かないとな」
思えば何から何までお世話になってしまった。
今使っているこのギターも、心優さんからもらった物だし、心優さんには頭が上がらない。
「こうなりゃー、最高のパフォーマンス見せてやるしかないっすね!」
「よーし! ガンガンやっていくぞー!」
気合を入れる叶に乗せられ、俺たちも時間を忘れて練習に励んだ。
しかし、技術を向上させる事も大切だけど、作詞についてはまだ取り掛かれてはいなかった。
結局作詞は、いろいろ悩んだ結果だが、心優さんと信吾さんが高校生の頃に書いたという詞を使わせてもらうことに。
「随分と甘酸っぱい歌詞だな」
「心優さんの青春が詰まったような詞だねぇ〜」
「……ちょっとこっ恥ずかしいけどなこれ」
歌う本人ではないから、気にもしないでべた褒め。
「実質アレンジみたいなもんだな」
「それもそれで、心優さんたちに見てもらう意味になるさ」
それからは実際にメロディに乗せて歌い合わせ、バンドとしての形を完璧なものに近付かせていく。
その姿が鮮明になっていけばいくほど、優勝だって無理じゃないと自信がついていく。
そしてその自信をしっかりと大きくしていき、俺たちは学園祭当日に望むのだった。
今回もここまでお読みいただきありがとうございます!




