忍び寄る影。
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もう二度と会うことはないだろう、そう思っていた。
だがその男は俺を待っていて、俺も会いに行かざるを得なかった。
「よぉ御剣。待ってたぜ?」
「俺ぁ別に会いたくはなかったけどな」
「そう言うなよ、昔は同じ組の仲間だったろぉ」
胡散臭い男は竹田正広。
藤城組っつー暴力団の構成員の一人だが、俺はコイツのことが嫌いだった。
とりあえず女の趣味、いや性癖は大概わりぃ。
一度動画の編集を任されそうにになった事があったが、当然断ってやった。誰があんなもんをわざわざ編集してやらなきゃいえねえんだ。
「とりあえず座れよ」
「……で、なんだよ」
本当は来るつもりなんか無かった。
だが奴はどこで探し出したのか、小町の存在をちらつかせてきた。話に乗らなければ、妹がどうなっても知らないぞ、と。
普段はそういう状況を避けるために、極力は会わないし、偽名まで使っていたってぇのに。それも俺の油断が全部台無しにしたのかもしれないが。
「お前さぁ、最近こいつとよく会うだろ」
竹田は一枚の写真を俺に見せる。それに写っていたのは俺もよく知っている人物だった。
「なんでコイツが……」
「さぁてね。俺も詳しくは知らねぇが、うちの坊っちゃんが探せってんだから、探してるだけ」
「……俺にどうしろってんだ」
「いまはまだ監視してるだけでいい。とりあえずはな……」
竹田はまだ火のついた煙草を灰皿に押し付ける。
どこの銘柄かもわからん黒い煙草。匂いの癖が強く、俺はそれも苦手だった。俺が吸わないからなのもあるが、生理的にも受け付けなかった。
「別に拐ってこいだの殺してこいだの言ってるわけじゃない……いつかはそうなるしれないけどな」
「お前……」
「おっと、態度には気をつけろよ。お前はもう自由な野良犬じゃねぇんだ……元の番犬に戻るんだよ」
馴れ馴れしく肩を抱いてくる。
信頼の現れではない……絶対に逃さないという脅しのようなものだ。ここで逆らえば、きっと後悔することになる。
(だがしかし……なぜ……)
その写真の中の人物に、俺はうろたえた。
どうして、なぜお前が……。
(楓太……おまえ、何に巻き込まれてんだ……?)
今回もココまでお読みいただきありがとうございます!
良いお年を。




