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居候高校生、主夫になる〜娘3人は最強番長でした〜  作者: 蓮田ユーマ
新しい季節編
92/134

誰が歌うの?

もうすこしで100万PVに到達しそうです!

「そういえばさ、結局誰が歌うんだ?」


 歌詞や曲、演奏も大切だけれど、そこに乗せる歌声も重要だ。ちょうど四人集まっていたからその話を繰り出したのだけど。


「あー……そういえばどうしましょうか」

「歌かぁ……私はボーカルするつもりはなかったなぁ」

「私も遠慮させてくれ……歌ったりなんかしたら、声を保てない」


 愛花の言うものは、つまり歌声が今のハスキーなものじゃなくて、素の可愛い声になってしまうからか。それなら無理を言って歌ってもらう必要もないか。


「じゃあアタシか楓太さん?」

「うーん……あんまり自信はないなぁ。アキラは歌うこと自体は好きか?」

「ていうかアキ姉ぇは歌すごーく上手いから、迷うことはないんだよね」

「そうなのか?」

「いやまぁ、上手いかどうかは知らんすけど……周りはそう言うすね」


 謙虚なのか、それとも本当に自覚がないのかアキラは控えめに肯定した。

 すごーく上手いから、か……そう聞かさせると俺も気になってくる。思えばこの家に来てそろそろ一年が経つのに、カラオケとかは一緒に行ったことなかったな。


「よし、今週の休みにでもカラオケ行かないか? 練習も兼ねてさ」


 俺の提案に3人とも頷いた。

 ここのところは叶の受験やらなんやらで、四人で遊びに行くこともあまりなかったから、久しぶりに建てた遊びの計画だった。

 

★★★


「──おぉ、結構広めだな」


 約束していた今週の休みになり、俺たちは最近できたばかりのカラオケ店にやってきた。

 室内は四人の部屋としては中々広く、まだ新しいから床もマイクもピカピカだった。


 練習と言ったが、久しぶりの娯楽の時間に俺も少し気分が上がっていた。

 ……いや、というよりも。俺、カラオケは小町としか行ったことがないから、すこしソワソワしてる。


 これは楽しみと、歌うこと自体も久しぶりで緊張しているのかもしれない。


「アキ姉ぇ〜、先いれて〜」

「おーし、歌うぜ〜」


 アキラが最初の一曲に選んだのは、爆発的に流行ったあの歌。

 ほら、あれ。

 うっせぇやつ。


「ん……」


 一瞬の咳払いのあと、スイッチが切り替わったかのように歌い出す。  

 歌声となると、喋り声とはがらりと変わる。

 本家とよく似たがなりの効いた歌い方。真似、というよりもアキラの癖なのだろう。すごく自然に歌っていて、聴き惚れてしまう。


 アキラの服装や赤い髪の影響か、堂々と歌うその姿はアーティストそのものだった。


「いや本当に上手いな。ちょっとびっくりした」

「へへっ」


 照れ隠しのそんな笑い声がマイクで反響する。

 アキラは歌い終わると、次に曲を入れていた叶にマイクを手渡した。


 叶の歌声は、結構想像と変わらなかった。見た目通りの幼い声色だけれど、華麗にアイドルソングを歌い上げていく。

 練習して覚えたのか、振り付けも真似て踊りながら歌っていて、ずいぶんと器用なことをしていた。

 叶なら本物のアイドルにも引けを取らないと思うが。


「はい! 次、愛花姉ぇだよ」

「あ、あぁ……」


 選曲に悩んでいた愛花がようやく決めたのを確認すると、叶はすぐにマイクを渡した。

 マイクをおそるおそる受け取り、両手で握りしめて声を入れる。


 きっと、よそ見をしていたら誰が歌い出しのかわからなかっただろう。それだけじゃない、あまりの声の可愛らしさにたぶんドキリとしていた。 

 今は身構えていたから良かったものの、それでも十分な破壊力だった。


(これ、かなり注目を集めるんじゃないか?)


 いや、でも愛花はちょっと嫌がってたしな。余計なことを考えるのはやめておこう。

 

 しかし本当にいい声だと、俺は何度も胸の内で思った。

今回もここまでお読みいただきありがとうございます!

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