ムカつくぜ。
ブックマーク件数がモリモリ減っていってしまっているのは正直に言うと悔しいです!
良いもの書けるように頑張ります!
「なるほどね〜、学園祭でバンドね。それで僕のところに来たわけか」
「あぁ。小町、確かいろいろ演奏できたよなって思い出して」
きょうはコソ練、というわけでもないが小町の元へ集まり、ギターの練習に来ていた。
本当は心優さんのところへ行くべきか、とは考えたけれどなんだか遠慮というか、少し足が止まった。
というよりもなんだろう、次にあった時にびっくりさせたいとか、そんな子供みたいな理由だ。結局コソ練か。
「くぅ〜、それで学園祭で鮮やかにかき鳴らして女の子たちをメロメロにしようってことかい? ムカつくぜ」
「いやそういうつもりじゃないんだけどな……」
小町は自身の使用するギターの調整をしながら毒づいた。まぁでも傍から見たらというか、男子がギターを弾けるようになりたい理由なんて、確かにまずはそこからなのかもしれない。
「その学園祭のステージはさ、他校の生徒でも参加していいんだろ? だったら僕も行こうかな〜」
「一人でか?」
「いや、バイト先に今年高校生になった子がいてね。ピアノが弾けるって言ってたから、その子を誘ってみようかなと」
小町は俺が高校に通っていた頃からカラオケでバイトをしている。よく一緒に行って、店員割引で安く通っていたことを思い出した。
「いいじゃん、オーディションとかあるからどうなるかは分からないけど、勝負になるかもな」
「はっはっは、ミヤが僕に勝てるかな〜?」
その自信も、俺はあるとは言い難い。
そもそも小町はあの頃からよく教室やら文化祭やらで弾き語りをして周りを魅了していたからな……まぁ、そんな小町だから教えを請いに来たんだけど。
「まあまあ、そこは置いといてってところでかな? 手取り足取り指導してあげよう」
「よろしくお願いしまーす」
なんやかんやと言いながらも、オンオフの切り替えがはっきりとしている小町は丁寧に一つ一つ教えてくれた。
文字通り手取り、指取り。ここを押さえるんだよと一つずつ。
熱中すると、時間の流れも早くなる。ふと時計を見れば、見間違いかと思うほどに針の位置が変わっていた。
小町との時間が楽しかったこともあるだろうが、やっぱり集中していると時間を忘れてしまう。
「あ、しまった……帰って夕飯作らないと」
「大変だねぇ、主夫は」
「居候させてもらってる身だからな、それくらいはするさ」
小町もこれからバイトだということで、バイト先のカラオケ店の前まで一緒に向かった。
「あ、ミヤ。あの子だよ、後輩ちゃん。ちょうど来てたみたい」
小町が指差す方にいる人。それはどこかで見覚えがある後ろ姿だった。
「おーい、彩愛ちゃーん」
「あっ、花咲先輩、こんにち……え?」
叶の友達、西本彩愛。
以前のド派手なピンク色のツインテールは、黒色へと変わっていた。
「たしか、叶のお兄さん……」
「えっ、あぁいや。お兄さんというか、何というか」
「あら、知り合い?」
予想外と驚いている小町に軽く説明した。
出会った経緯やらを話すと小町は大変驚いた。それもそうだろう、バイト先の後輩が、レディースチームの総長だなんて。
「怒髪天はもう抜けました。あとは残った子たちで、好きにやってもらってる」
それは彩愛の意志の表れでもあるのだろう。黒く染めた髪の色も、学校へ通うことも。
「そっか……叶とも、また遊んでやってくれな」
彩愛はうんと頷き、白い歯を見せて笑った。
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