誰が歌詞書く?
心優さんと信吾さんの授業を終えて、俺とアキラは家へと帰る道すがら、アキラに心優さんとの関係を尋ねた。
「そういや、結局アキラはどこで心優さんと出会ったんだ?」
「たまたますよ。酔っ払ったおっさんに絡まれてる心優さんを助けてから、よく会うようになったっす」
あの人なら自分でも撃退できそうだけどな、と余計な考えかと言葉を飲み込む。
「しかし、バンドか。いざ勢いでやってみるか……ってなったけどさ、どこかで演奏とかするつもりなのか?」
「よくぞ訊いてくれましたね楓太さん。今度うちの西城高校で、新入生を歓迎する意味も含めて、学園祭が開かれるんですよ」
西城高校の学園祭はこの地域でも盛り上がると評判らしく、毎年多くの人が訪れるようだ。そこでの名物となっているのが、高校生たちによる学生バンドのライブだと言う。
最初こそ、よくある催し物の一つでしかなかったが、ある一組のグループが爆発的な熱狂を引き起こし、その後はあれよあれよとインディーズ、メジャーデビューを果たしたバンドを産み出したらしい。
その件以来、毎年参加者が増え続けているようだ。今ではある程度の実力を求められて、オーディションをしたあとに参加を勝ち取るだとか。
「それに出たい訳か……でもそれだと、始めたばかりの俺じゃあ足を引っ張らないか?」
「そこはアタシ達がカバーしますよ。……それに」
楓太さんと一緒に出たかったんすよ──アキラは照れ臭そうにそう言った。
……そう言われては、俺も出来ないからと言い訳は出来ない。カッコ悪いところは見せられないな。
「なら、俺も頑張らないとな。やるからには、一番を目指そう」
「当然! アタシたちが組めば無敵っすよ!」
アキラが言うと、なんだか意味合いが変わってきそうだ。だけどアキラがそう言えば、どんな分野に置いても無敵だと思えそうだった。
きっとそれは、叶や愛花でもそうだろう。本当に頼もしい存在の三姉妹だ。
そんな三人を、守ってやれるようになりたいけれど……気持ちと気負いとはうまく噛み合わないもので、俺の手助けなんで必要ないくらい、アキラたちはしっかりしている。
「ところで、作曲とか作詞はどうするんだ?」
「作曲に関しては、ちょっと助っ人を。作詞はアタシがやりたいんすけど……ちょっと揉めてて。叶も愛花も書きたいって言うもんだから」
「そうか……そこは、三人らしく勝負したらいいじゃないか。3人が歌詞を書いて、誰のものが一番いいかで、作詞担当を決めるのもいいんじゃないか?」
「なるほど……よし! そういうことならっ、善は急げ!」
頭よりも体が先に動いたか、アキラは言い終わるよりも先に走り出していた。
俺もその後を追って、家まで帰った。
今ではすっかり、実家のように安心できるあの家へ。
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